30年程前に東京に住んでいる友人から、旅行に行かないか？ という誘いがあった。祭り明けだったら休みが取れる状況だったので、7月28日〜7月30日までの予定を決めた。7月27日は午前３時頃から仕事だったので、午前９時まで仕事をして神輿担ぎも一緒に参加した。 その時はなぜ急に旅行？ と思った。後に高校生当時のメモ帳が見つかって知った。彼と２泊３日の旅行に行っていたその日付が、丁度同じ日の旅行になっていた。彼は覚えていたのだろうか？
日にちが決まってから、色々と旅行雑誌を見ながらプランを考えた。その中で ランプの宿 というものに目が行った。この辺でランプの宿として 青荷温泉 乳頭温泉 がありますが、かなりメジャーな存在です。 前に青荷温泉に行った時、たしかにランプの宿ではありましたが公衆電話が置いてあった。その気になれば、電気を引く事も出来る。もしかしたら電気が来ていたかもしれなく、照明だけがランプであったのかもしれない。そんな見せかけのランプの宿でなく、本物のランプの宿を探そうと思った。 その条件に合った物として、八甲田山麓にランプの宿を見付けた。明治時代に「八甲田雪中行軍遭難事件」の場所であり、部隊が目指した温泉です。そんな、曰く付きの温泉である事で即座に決めた。その温泉は 田代元湯 です。
旅行には、車で行く事にしていた。当時 彼は、幌付きのジムニーを乗っていた。彼の自動車遍歴は、ジムニーの次に屋根を外せる日産EXA。現在は、プジョーのコンバーチブルに乗っている。そういった意味で、彼の嗜好の一貫性を感じる。 28日は晴れていたので、ジムニーの幌を外して彼が向かえに来た。ゆっくりと八甲田山麓を巡り、田代元湯に向かった。夕方に駐車場に着いたら、丁度 家族連れの車が一台来ていた。客は自分達だけではなさそうで安心した。宿に向かうには、車を降りて２０〜３０分程山道を歩かなければならない。
（田代元湯 やまだ館）
来てすぐ温泉に入った。露天風呂を含め全部で５つの風呂があるが、全て混浴であった。女の人が３人・男の人が２人入っていたと、当時書いていたツーリングレポートに書かれていた。やはりランプの宿には風情がある。テレビなどは無く、川のせせらぎを聞き、川端のホタルを見ながら酒を飲み交わした。けして豪華な料理ではなかったが、酒は進み贅沢な雰囲気を味わった。女将の話では、この後に若い人達が来る予定だと言う。結構、有名なんだなと思った。 翌日、精算を済ませ青森市内へ向かった。
人による荷物の運搬が必要なため、相場より１０００円程高いそうです。
途中 幸畑陸軍墓地に寄り、神成大尉（北秋田市出身）の墓を参拝した。
※神成大尉は、八甲田雪中行軍遭難事件で殉職した方です。これに関して「大寒から立春」の記事に書きました。
２９日は津軽半島を周り、金木町で一泊。３０日の昼頃、家に着いた。それから一年後、また同じ日程で彼と旅行に行った。しかしその後は仕事の都合で休みが取れなくなり、以降彼とは旅行に行っていない。高校生の時も２泊３日の旅行だったが、金がなく無人駅などを宿としていた。日中が暑かったのでベンチでも大丈夫と思っていたが、夜になってから急に寒くなって新聞紙を体に巻くなど、ホームレス状態だったのを思い出した。
現在、やまだ館はどうなっているのか？ １９９５年に廃業をした様です。２００３〜２００４年に主な建物が倒壊をし、２００５〜２００７年の大雪で全壊したといわれている。しかし建物は全壊したが、温泉はまだ湧き出ている様です。そのため地元の有志の方が、不定期に清掃と整備をして露天風呂で利用出来る様です。
ここにたどり着く道が不明瞭なため、訪れる方はほとんどいないと思います。
そもそも、何故やまだ館の事が気になったかというと、八甲田温泉に行った時に車中から見た風景が当時を思い出させたからです。どの辺から入ったなどは覚えていないが、それらしき雰囲気が見えた気がした。そこで急に30年前の事を思い出し、ツーリングレポートを読み返してみた。ちなみに、八甲田温泉も良い所です。
この田代元湯ですが、駒込ダムの建設により２０１８年頃にはダムに沈むとされています。元湯の近くに新湯があるのですが、共にダムの底になる事で「八甲田雪中行軍」の歴史が一つ消える事になる。
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