栗と熊

毎年、素波里園地へ栗拾いに行っています。そして、今年も行って来ました。例年であれば9月末頃に行くのですが、今年は10月4日に行きました。今年の夏は暑かったので、少し早く実が付くのかな? と思ったけど、少し気が重かった。そのため、採りに行くのが遅くなったのです。

気が重かった理由は、去年収穫した栗がまだ残っていたからです。収穫した栗は冷蔵庫で熟成させ、一ヶ月位した頃に茹でて中身をほじくり出す。その実を冷凍させ、頃合いを見て加工して食べています。その作業は毎年同じで、解凍した茹栗で栗きんとんとマロンムース作る。あと、生栗の皮を剥いて冷凍保存している。こちらは、栗ご飯用として。

山栗を冷凍保存
去年の9月に山栗を大量に収穫した。多くは加工して冷凍保存したが、時期外れに栗を食べようと思い生栗を冷凍保存しようと思った。しかし、冷凍していた事を忘れ、冷凍して9ヶ月目に解凍した。果たして味に変化はあるのか・・。

去年収穫して冷凍保存した栗は、今年の9月になってようやく加工して食べました。やはり、いつもの栗きんとんとマロンムースで・・・

 

一度冷凍してしまうと、いつでも良いという気があって中々やろうとしないのは自分だけではないだろう。栗のシーズンが近づき「そろそろやらねば!」と、重い腰を上げた。

もう一つの理由は、中身を取り出す作業が家族から不評な事。収穫する量がハンパなく大量で、しかも山栗である事から粒が小さく作業が面倒臭い。そのため、家族三人で半日は掛かる作業になります。それでも山栗は美味しいので、収穫に行って見る事にしました。

 

例年と比べたら少ない量で、粒も大きめな物を収穫しました。

たぶん気の重かった一番の理由になると思うのですが、熊の出没です。全国的に熊の出没が異常に騒がれました。それは能代山本も同様で、市街地への出没が多く目立ちました。そんな状況から山に入る場合は特に注意が必要と思い、今年は午前10時頃から採取を始めました。例年であれば日の出頃から始めるのですが、その時刻と夕刻は熊の活動時間とされている。そのため、日の出時間は避けた方が良いと考えました。

時期も時間も遅くなった事から、栗の姿はあまり見えない。イガはたくさん落ちている様だから、すでにピークは過ぎていたと思います。それでも根気良く探し続ける。 そんな中で・・・・

 

動物による食べ殻の実が数多く散らばっている。しかも、型の良い栗ばかりが食べられている。動物にとっても、型の良い方が食べ易いだろう。そんな空の実に混じって・・・

 

おそらく、熊の糞!!  人間の糞の様に太くて大きいから、大型の動物であると想像が付く。だとしたら、それは熊の物だろう。しかもこれらの糞は、いたる所に落ちている。おそらく、ここは熊のエサ場と化している様です。 今年の山の実は大凶作とされているので、ここの栗は絶好のエサ場となった可能性がある。 なので、そこに入り込む人間は敵と認識されていつ襲われてもおかしくない。 五年前、藤里町藤琴で女性が熊に襲われて亡くなりました。

熊が人を襲う
熊の出没で、通常と違う行動になっている。石川県では特にその傾向が強く、10月に入って12人の犠牲があった。異常な行動というのは、町の中心部で熊に襲われている。通常であれば、山菜採りなど山で出くわして襲われるケースが多い。藤里町でも同様の事件が発生した・・

近くに栗の木と採取した栗の実が落ちていた事から、採取中に熊と遭遇したと思われた。どちらも採取に夢中になり、気付くのが遅れたのだろう。 素波里園地の栗の木は一面芝生なので見通しが効く。周囲を常に確認しながら採取を続けました。

今年は特に熊の目撃情報が多い。それは秋田県だけでなく、全国的な傾向にあり社会問題化している。問題なのは、出没が里や市街地で多く目撃されている事。その事によって人との接触機会が増え、人身事故も多く発生している。

 

表は2025.05.18から10.28現在までの状況ですが、人的被害は49件あり56名の方が何らかの傷を負っている。そして、3名の方は命を失った。驚く事は、2名は山中での遭遇ですが残りの方は人里で被害に遭っている。 (10月28日以降、11月3日に熊に襲われた一人の遺体が発見された。そして、ケガ人は増え続けています。)

人里、しかも市街地で多くの熊が目撃される様になったのはここ数年の事です。原因としては、人里の味を覚えた熊 つまり「アーバンベア」と呼ばれる個体が増えた事。それは、熊の個体数が増え過ぎた事だと思います。熊にも縄張りがあると思うから、個体数が増えると山から弾き出される熊が出て来る。特に山の実が凶作の場合は熊の移動範囲が広がり、危険と思いながらも里で食糧を探す必要にせまられる。 去年は山の実が豊作であった。すると出産数が増え、生息数が増えただろう。 日本の自然界では、熊が頂点にあるため天敵がいない。昔はオオカミがいたり、狩猟を生業とする「マタギ」などがいたため生息数は自然と調整されていたと思います。現在ではオオカミが絶滅し、狩猟者が減っている事から生息数は増え続ける事になる。

熊による襲われ方にも変化がある。一般的には、人と遭遇した時にパニックになって人を襲うとされてきました。しかし大仙市で撮影された防犯カメラには、歩行中の方が背後から襲われた映像があった。その他にも、道路脇から突然襲われたケースもある。進行方向にいる人を、邪魔と思ったのだろうか? 去年は人が襲われた事故はゼロ件だったので、今年の人身被害は異常です。 今年の10月16日に北上市の瀬見温泉では、露天風呂を清掃中の従業員が熊に襲われた。そして、その方を山中に引きずり込んだ。この場合は、襲うというより狩りの様です。 被害者を発見した時には熊がそばに居て、まるで獲物を取られない様に見張っている感じ。その熊は、その場で射殺された様です。その熊を解体してみると、異常に痩せて脂肪が付いていなかったらしい。腹が減って、人を食糧と認識した人喰い熊と化した可能性もある。珍しい事ではありますが、人の味を知った熊は人を狩り続ける。 (2016年・十和利山熊襲撃事件)

能代山本でも、毎日の様に熊の目撃情報があります。そして、他の地域同様 市街地での目撃が多い。市街地で多く目撃されるのは、風の松原周辺や米代川沿い周辺が多い様です。しかし、風の松原は生息地では無いと思います。というのは、松林には食糧が乏しいと思われるからです。たぶん、生息地から移動のため松林の藪を利用して市街地に食糧を探しに出て来た。米代川沿いも同様、河川敷の藪を利用して移動して市街地に出て来ていると思います。米代川を泳いで、対岸の向能代に出没する熊もいる。

 

熊出没に関して北羽新報の記事ですが、その中で「向能代上野」「平影野・金山団地」での目撃情報があります。この地域、及び落合地区では毎日の様に熊の目撃情報があります。日によって熊の大きさが違うので、複数頭が居るのかも知れません。ただ、見る角度や距離・熊の体勢等によって感じる大きさが変わるので、同一個体かもしれません。いずれにしろ、住宅地に住み着いた熊の様に感じられる。もし住み着いたならば、生ゴミの出し方も従来の方法では熊にエサを与えている事と同じです。果たして何らかの対策をしているのかは分かりませんが、エサがある内は冬眠をしないで住み着く事になります。

秋田県では、知事が自衛隊に熊対策の支援を求めました。支援として ◎箱罠の運搬と設置 ◎仕掛けた箱罠の見回り ◎駆除した個体の処理の様です。 この要請により、政府では自衛隊や警察を活用する動きがあります。(11月5日より自衛隊が実働された) ちなみに、自衛隊の銃による駆除は、自衛隊法の規定により難しいらしい。

現在の熊の駆除は猟友会の方々によって全ての作業が行われておりますが、その方々は猟が趣味で本業が他にあります。害獣駆除の手当も安く、経費や危険度から考えたら割に合わなくほとんどボランティアの様です。北海道では、トラブルから駆除の出動を断っている自治体もあります。ハンターの人数も、ピーク時からは大幅に減り続けています。ハンターを増やす動きもありますが、鉄砲を持ってすぐに狩りが出来るはずもないし、問題が発生すればハンターの責任になる場合もある。これでは、ハンターが増えるはずもない。出動が増えれば、いずれハンターの犠牲者が出る可能性もあります。

自分が思うに、害獣駆除は自衛隊の仕事にしたら良い思います。国内の治安を守るのは警察の仕事ですが、害獣駆除に関しては自衛隊の方が適していると思います。 以前、自衛隊のレンジャー訓練の様子をテレビで見た記憶があります。過酷なゲリラ戦の訓練だったと思います。このレンジャー訓練で資格を得た方は、陸上自衛官の約8%の方が持っているらしい。しかし、常設のレンジャー部隊は1個小隊が創設されたのみの様です。

レンジャー訓練を熊の駆除に活用してはどうだろうか。 増えすぎた熊に対しては、ある程度の間引きが必要になってきます。そのためには、山に入って狩りをする必要があります。マタギの様な職業ハンターがほとんどいない状況で、猟友会の方々がマタギの様に山の中で数日間も狩りを続けるのは無理です。自衛隊にはドローンや最新の装備があり、ゲリラ戦の訓練になる様な気がします。危険が伴いますが、自衛隊にとっては緊張を持った実戦訓練になると思います。

とはいえ、皆殺しは絶対に出来ない。全頭把握をする事が重要と思います。適切な頭数であれば、人里に出て来る熊も少なくなります。そのためには、全頭に発信機を付ける事が出来ればと思う。その生け捕りを自衛隊に行ってもらう。それもゲリラ戦の一環として。全頭把握が出来れば、正確な間引きが可能になります。その前に、アーバンベアは完全に駆除しなければならない。 実戦経験のない自衛隊にとって、少しは実戦に近い訓練になるのでは? と、自分は思います。

 

先の素波里園地の事になりますが、去年までは熊の糞や食跡を見る事はありませんでした。人里から離れた山間部でありますが、公園やキャンプ場などに人が集まっていました。なので、熊も近づけなかったと思います。今年は、熊の食糧事情がかなり深刻なのかもしれません。 今後は、ここの栗を知った熊は出没し続けるだろう。山の実が豊作の年でも・・・  来年以降は、特に注意して採取する必要があります。

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11月5日 午後1時すぎ、能代山本では初となる「緊急銃猟」が行われました。秋田県では4例目となりました。

 

場所は「東雲羊羹・熊谷長栄堂」の辺り。向能代 旧市街地で住宅の多い場所。

『東雲羊羹』186年の歴史に幕下ろす
熊谷長栄堂が、6月末で閉店する事になった。生産量に限りがあるため、もう予約分した販売されていない。日常的に食べる事はありませんでしたが、186年続いた東雲羊羹を食べる事が出来なくなる事は、やはり悲しい。

駆除された熊は、体長約150cm・体重約120kgのオス熊で、6歳位と推定される。たぶん、この辺で連日の様に目撃されていた熊かもしれません。この熊は鶏を襲って食べていた様で、肉食化していた。駆除が遅れていれば、人身被害が起きていた可能性が高い。 問題なのは、向能代の広い地域で目撃されていた熊が駆除された熊なのか、他に別の個体も居座っているのか?

 

 

 

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