きりたんぽorだまこ

きりたんぽ は秋田の郷土食です。どういう経緯で広まったか知らないが、全国でも知られる様になってきた。 「秋田で一番美味しい物は?」と聞かれた時に「きりたんぽ」と答える方は多いと思う。

秋田県でも稲刈りが始まり新米が出回る様になってきた。
先日のニュースで、秋田市の料亭で新米によるきりたんぽ作りの様子が紹介されていた。昔ながらに杵と臼でご飯を潰し、杉の串に潰したご飯をまとめ囲炉裏で炭火焼きにする光景だ。 新米が出ると、まずはきりたんぽというイメージがある。 スーパーでも「新米で作りました」という宣伝できりたんぽが販売されていた。

自宅できりたんぽを製造する方は少ないと思う。昔は家に囲炉裏のある家が多かったと思うが、今はそれなりの設備と手間が必要だからだ。そのため販売されているのを購入する方が多いと思う。 製造側もほとんどが機械化されガスで焼かれている。しかし、杉の串だけは昔ながらに使われているのではないだろうか? 杉の香りもきりたんぽの一つの要因であるから、他の物で代用されるとそれはもはやきりたんぽではない。

自分の家でもきりたんぽを食べるが、きりたんぽより だまこ を食べる方が多い。 やはり新米が手に入ると、まずはだまこ! という感じです。 秋田の郷土食として全国的に認知される様になってきたきりたんぽですが、昔は大館・鹿角辺りのごく一部で食べられていた物でした。きこりやまたぎの方が、持って行って冷たくなったご飯を鍋に入れて食べたのが始まりとされている。

八郎潟の辺りが発祥とされているのが だまこ です。 南秋から県央及びその周辺、能代山本もだまこを食べている家が多かったと思います。 きりたんぽもだまこが基になっているという話しです。

県南に行くと いものこ といって、里芋を原料にした鍋が主流になります。そもそも県南では、きりたんぽ・だまこはまるっきり食べられてなかったとされています。 きりたんぽ・だまこ・いものことも、全て同じだしスープの様に感じる。 基本は鶏肉・舞茸・ごぼうで、セリが必ず入る感じです。4品の内1品でも欠ければ、きりたんぽ鍋とは思っていません。 その他にはだしを取るため、鶏モツを入れたりがらだんごを入れたりします。鶏肉は比内地鶏と相場が決まってますが、安く済ませるのだったら親鶏でも十分です。家では鴨肉を使ってます。そうだ、七面鳥も美味しかった。ただ、ブロイラーはだしが出ないのでダメな様な気がします。ちなみに、比内鶏は天然記念物のため食べる事が出来ません。そのため交配させた比内地鶏が家畜にされています。 他の具材は、ネギ・油揚げ・しらたき位です。


(きりたんぽ鍋)

(だまこ鍋)

他の地域は分かりませんが、能代では キンダケ が採れると 「だまこにしが!」 っていう事になります。 キンダケの時期になると、能代の料亭のきりたんぽ鍋には必ず入っているはずです。もし入っていないきりたんぽ鍋が出た場合には、ランクの低い料亭と思われます。

   
(キンダケ)

キンダケは、あまり店で販売されていない。物自体が少なく高級食材になった事もあるが、全国的に需要が少ないからではないだろうか?
キンダケにも2種類があって、内陸の里山で採れるものが「キシメジ」、沿岸の砂防林などで採れるものが「シモコシシメジ」とされている。姿・形は同じ様に見えるが、シモコシの方が丸みがあって弾力があり味が良い様な気がする。
能代衆が もじょなって 採るのが、シモコシのキンダケです。昔はどこにでもたくさんあったと聞いている。しかし今は乱獲により激減し、キンダケより採る人の数の方が多い。しかも能代衆は、砂を掘り起こしてでも探す人が多いから中々育たない。 もっとも、地表に出て傘を開いたキンダケよりも、地中に埋まって表面が少し出たキンダケの方が美味しい気がする。また市場価格も高い。 舞茸の語源は、一株を見つけるとうれしくて踊り出す事から付いた様だが、キンダケもまた同様である。シメジ類であるキンダケは、一個見つけると周りに必ず何個かある。集落で見付けた時には踊りたくなる位に貴重な物になってしまった。

たけのこのシーズンにもきりたんぽを食べる。たけのこの風味が、また別の味のきりたんぽ鍋になる。 その他にも、もてなしや何か事があるごとに秋田県人はきりたんぽ鍋を食べる。

きりたんぽ鍋にも好みがあって、少し味のしみた物を好む人や残ってドロドロになった物を好む人もいる。そのドロドロになるのを防ぐために、だまこには片栗粉を少し混ぜてご飯を潰すのがコツの様だ。
全国区になったきりたんぽは、みやげ物屋等でも販売されている。 日持ちがする様に加工された物だが、昔は不味くて食えなかったが今はどうなんだろう? やはりできたてで、ほんのり温かく香ばしい匂いがただようと、思わず手に取りたくなってしまう。

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