能代山本では、9月末から新米の販売が大々的に行われていました。
都市部ではなじみがないと思いますが、米産地では玄米が直売という形で行われています。ここで購入する消費者の多くはここで一年分を購入し、各所にあるコイン精米機か家庭用精米機で白米にして食べています。昔 米の流通が規制されていた頃は縁故米として流通していた。規制が撤廃されたその後は、いたる所で玄米30kg入が販売されています。 精米という手間は掛かりますが、スーパー等で購入するよりも格段に安くなります。
主だった直売会を見ると・・・
「JA秋田やまもと」と「JAあきた白神」はJAが農家から集荷した米を直接販売する形で、「アグリ檜山」と「能代グリーンファーム常盤」は農業法人でいわば一般企業です。JAは農家に支払う概算金というモノが事前に決まっているため、JAごとに価格に大きな違いはありません。法人の場合は規模によって採算値が違うため自由に価格を設定出来ると思うのですが、実際はJA価格より少し安く価格設定をしているのが実情です。
新聞に「あきたこまち一等米(60kg)の概算金推移」が載っていました。左側の「JA概算金」というのは、「JA全農あきた」で決められた額だと思います。秋田県のJAは、管内の群市町村によって13のJAがあります。それらをまとめているのがJA全農あきただと思うのですが、たぶん各JAの独立採算で運営されているのではないだろうか? 以前 各JAの間で全農主導で合併の話があった様な気がしましが、何か実現しなかったと記憶している様な・・・? いずれにしても各JAが独立採算で運営されているならば、JA全農あきたは必要が無いのでは? と自分は思う。組織が複雑になれば、それだけ流通が複雑になります。それが、米価にも影響が出てくると思う。
概算金を基に米価が決まる訳ですが、令和5年までは多少の変動はあるにしても大きく変わりはなかった。その年の出来高や需給のバランスによって概算金が決まると思うのですが、農水省の数値自体に嘘があった。コロナ明けで需要が戻って来た中で、インバウンドによる需要増しで米不足という事態になった。農水省が進めて来た政策を正当化するために、数字の辻褄を合わせていたのかもしれません。 そんな中で米の争奪戦が起こり、米の相場が急激に上がったのが去年。そして今年は、JAが争奪戦に勝つために概算金の額が2倍近い状態になった。そのため、当面は米の高い状態が続くだろう。
家では能代グリーンファーム常盤から毎年 購入しているのですが、当然ながらここも値上がりしていました。
去年は玄米30kgで11,000円で、今年は18,000円でした。価格は約60%の値上がりです。去年の新米時にはすでに米不足が騒がれていたのですが、作況指数の値が良かったので、いずれは値段が下がり始めると思っていました。そのため、ギリギリ足りなくなる位の60kgを確保しました。しかし、値段は下がらず上がり続けた! 政府備蓄米の放出もありましたが、能代ではほとんど販売されていなかった。たまたまイオンで販売されているのを見て1袋購入しましたが、それ以降は見掛けた事が無かった。通常通り90kgを確保していれば、無駄な支出を抑える事が出来たと今にして思います。
各直売所では玄米30kgが大幅に値上がりしたとはいえ、スーパー等で購入する精米よりも遙かに安い。玄米を精米する場合、コイン精米機で10kg・100円掛かります。また、玄米を精米すると、米ぬかなどで10%位目減りします。 玄米30kgを18,000円で購入した場合、18,000÷0.9+300=20,300円の白米になります。それを5kg換算すると、20,300÷27×5=3759円(10%位目減りするので、実質27kgの白米) 多少手間は掛かりますが、5kg当り1,000円位安くなります。そんな訳で、各直売会では大盛況の様でした。
(JA秋田やまもとの直売会の様子〜北羽新報より)
(JAあきた白神の直売会の様子〜北羽新報より)
毎年 アグリ檜山が一番最初に広告を出すのですが、ここの米はJA価格より1,000円高く販売されて来ました。何かが違うのかな? と、広告を見るたびに感じていたのですが、今年はなぜか2,000円も安い! しかもJAには無い特典として、購入した米を一年間冷蔵庫で保管してもらう事が出来る。その都度引き取りに行かなければなりませんが、暑い時期の米の劣化を防ぐ事が出来るので魅力的なサービスです。適切に温度管理がされていれば、古古古米でも劣化の少ない事が政府備蓄米で証明された。
家では能代グリーンファーム常盤で購入しているので、今年は90kgを購入しました。アグリ檜山の広告を見た時、たぶん今年は15,000〜16,000円かな? と目論んでいました。しかし、実際は18,000円。JA価格に沿った価格になりました。グリーンファームの直売が一番遅いので、ま 仕方がない。ここでも一年間冷蔵保管してくれるので助かります。(今年から、新規の客に対しては冷蔵保管の受付をしていない様です)
今年の米の高騰はすごかった! 政府備蓄米の放出によって平均米価は下がりましたが、銘柄米に大きな変動は無かった。そして、新米が出回ってさらに価格が上がった。 農家からの米の争奪戦で取引価格が高くなり、JAでも負けられないため概算金を上げた。果たして、今後の米価の行方はどうなるのだろうか?
今年の米は、一昨年からの品薄傾向や価格高騰などにより主食用米の作付面積を増やす農家が多かった。水不足や猛暑により一部の田んぼにその影響が出ている事がニュースで流れていましたが、全国的には生育が良好の様で、「農林水産統計」によると令和7年度産主食用米の収穫量は前年に比べ63万4千トンの増加が見込まれている様です。
米の高騰から米の消費量を減らし小麦粉を活用するつもりであれば、25kg・5,000円前後から購入する事が出来る。米と比べたら1/3の価格です。ただ、これを活用するには知識と時間を必要と感じます。強力粉であればパンやパスタに、薄力粉であればお好み焼きやたこ焼き・すいとんなどなど・・・ ミックスして中力粉にすればうどんやラーメンなどに活用出来る。米は炊飯器に入れてスイッチを入れれば炊きあがるが、小麦粉の場合は手間が掛かるため仕事をしている方には無理な面もあるかもしれない。 戦後の日本で、米不足からアメリカからの小麦粉の配給がされていた。しかし活用法が分からず、毎日すいとんの様な食事であった。そこに目をつけ小麦粉の活用法を本の記事にしていた・・・というのが「とと姉ちゃん」というドラマで放送されていました。 誰でも簡単に小麦粉を活用出来る! という本を出版したら、きっとベストセラーになるかもしれない。
これらは極端な方法であるが、少なからずとも米の代わりにうどん・パスタなどのメニューが増えた家は多いと思います。 全国的にその傾向であれば米の消費量が減り、増産された米の量によってかなりの余剰米の出る可能性があります。需給のバランスが崩れれば相場の下落という事になりますが、数年前の水準まで価格が下がる事はないだろう。出来れば、家で購入した価格以下にはならないで欲しいと願う。 誰だって、損はしたくないだろう?
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