能代市の地価

7月1日に全国の路線価が公表された。土地の値段には「実勢価格」「公示地価」「基準地価」「路線価」とある様で、実際の土地の値段は実勢価格になる様です。それ以外のものは各機関で調査された価格で、それぞれの評価額が違う様だがそれぞれの利用する目的が違う様です。その中で、税金に関するのが路線価の様です。土地自体を頻繁に売り買いするものではないので、生活に関係するとしたら毎年払う固定資産税になる。そういう意味からすると、毎年公表される路線価は生活に直接関係する事になる。

7月2日付の北羽新報によると、能代市での最高路線価は「柳町通り」で、1㎡当り2万円で前年より千円下落した。下落は22年連続で、仙台国税局管内52税務署で最下位であるそうです。

赤線部分が柳町通りで、能代の商店街になっている。

青線部分が「畠町通り」であるが、かつてはここが能代の商店街として栄えた。しかし今は、シャッター通りになっている。閑散として人通りが少なくなってしばらく経つが、能代新橋が出来てからは車通りも少なくなった。それでも、柳町通りとの路線価は2千円しか違わない。どういった基準で査定しているのか分からないが、実勢価格はかなり違うかもしれない。

いつの頃かまでは忘れたが、能代駅前にあるこの建物の地価が一番高かった様に記憶している。それが路線価なのか公示地価なのかは分からないが、一応能代の玄関口が一位という事であった。しかし、今の駅前の路線価は1万6千円と査定されている。駅前には何もなく人も通らない。何もないから人が来ないのか、人が来ないから何もないという事になるが、能代の場合は交通の便が悪いから車が一家に数台という家も多い。そのため汽車に乗る必要がなくなるためです。

能代に7号線のバイパスが出来てからは、郊外への出店が多くなり市街地のドーナッツ化が進んだ。それでも、101号線に接した柳町通りには救いがあるが、新橋によって流れが変わった畠町通り・駅前通りは衰退して行く事になる。 意外に思った事は、バイパス沿いの路線価が1万6千円である事。何らかの基準があると思うが、実勢価格はもっと高いかもしれない。

柳町通りには「イオン」が存在する事で、他の商店街よりは遥かに人通りが多い様に感じる。しかし、東能代地区に「イオン新能代ショッピングセンター(以下SC)」が出店する事が決まっている。その話は随分昔からあったが、中々出店が決まらず規模も縮小されて魅力のない店舗になってしまった。

2017年8月に出された「能代市公式サイトのイオン新能代ショッピングセンター計画案」

現在は大店法が撤廃されているため、出店する気になればそれ程難しくなく出店が出来ると思う。ましてや、能代市は歓迎している訳だから。それでも色々と理由を付けて、出店が先延ばしされて来た。そこには、能代の市場に興味が薄いのかもしれない。少し前の新聞にイオン出店の事が載っていた。それによると、今年の11月から建築工事に着手し、翌年の12月に開店予定の様です。しかし、建築面積は2%減る事になった。ただ、新型コロナの影響でまた変わるかもしれないな!

SCが出店する事で、柳町にあるイオンの今後が問題になった。イオン側は、SCが開店しても柳町のイオンは存続させると言っていたが、SCが出来れば人の流れは大きく変わると思う。そうなれば、採算次第で閉店もありうる。柳町の人通りもなくなれば、よけいに市街地が寂れる事になる。

2020年の路線価は、全国平均で1.6%の伸びであるという。それは5年連続の上昇だそうだ。柳町通りの22年連続下落の事を前に書いたが、それは能代市全体に言える事です。 路線価ではないが、能代市の地価の推移という表を見付けた。それによると、1990年の地価平均が88,833円/㎡が最高で、丁度バブルの頃だったかもしれない。バブルの崩壊がその後に起きたので、能代も例外なく地価が下がり続けた。そして地価は下がり続け、2019年には13,902円/㎡まで落ち込んだ。2020年に路線価が下がったので、地価も下がる事になるだろう。

路線価の日本一は東京銀座「鳩居堂」で、4,592万円/㎡と報道されていた。自分の住んでいる所は「倍率地域」として指定されているため正確な数字は分からないが、近辺の数字から考えて数千円/㎡であると思う。銀座とは1万倍近い差がある。商業地と住宅地の違いはあるが、固定資産税をいくら納めているのだろう? と思ってしまう。

路線価を決める基準には、景気も関係していると思う。 今朝の新聞で、能代市の空き家が2,193戸に増加したと書かれていた。その空き家の半数は、市の中心部に集中しているという。少子高齢化が進み市の人口が減る中、新しい世代は郊外に居を構え、古くからの家に人が住まなくなっていくためだろう。 古い市街地を取り壊し、新しく作り変えて行かない限りは現状を変える事は出来ないと思っている。

能代市で移住をどのくらい積極的に進めているか分からないが、都会で家を購入するつもりであれば能代では豪邸が建つ。しかし、能代には産業がないので、どうしても退職した方々の移住になってしまうかもしれない。ただ今は、新型コロナの影響でリモートの仕事が多くなっている。通信環境さえ良ければ、どこでも仕事が出来るはず。この機会に移住してもらうというのも、人口増加の手段かもしれない。ただ、都会に慣れた人にとって能代は、退屈で不便と感じるかもしれない。

もし自分がそういう立場で、地方に居を構えると考えたらどうだろう。 能代山本だけを考えるとしたら、自分は三種町琴丘に場所を探すと思う。能代より何もないが、土地は能代より安いし、車で15分程行けばショッピングに不便さは感じない。そして、1時間以内に秋田市がある。空港は遠くなるが、新幹線で東京に行くには早くなる。むしろ、新幹線の方が本数が多いので便利かもしれない。

やっぱり、能代には発展する要素がないかもしれない。

 

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