能代市柳町にある「イオン能代店」に熊が侵入しました。能代市街地で熊の目撃情報は何十件もあり珍しい事ではなくなりましたが、屋内にまで侵入して来た事は初めてと思います。 この事件は全国版のニュースでも大きく取り上げられ、北羽新報でも一面を占める大事件でした。


事件が起きたのは、11月16日 午前11時20分頃。 一頭の熊がイオン能代店の正面口(柳町側入口)から侵入して、一階の雑貨コーナーに居座ったというもの。その後 市・県職員や猟友会が対応に当たり、一人の犠牲者を出す事もなく午後2時頃に有害駆除されました。 
駆除に当たり、イオンの店員の対応がすごく良かった様に感じました。熊が入り込んだ場所を売場の棚などを動かして封鎖し、熊がその場所から移動出来ない様にした。そして、客や従業員を避難させた後に防火シャッターを下ろして、雑貨のフロアーを完全に封鎖し他の売場に移動出来ない様にした。閉じ込められた熊は、身動きが出来ない状況になっていた。 その後 県職員が吹き矢で眠らせ、電気ショックで駆除した。銃を使えない状況でしたが、身動きが出来ない状態であった事から楽に駆除が出来たと思います。
駆除後に確認した熊は、体長約80cm・体重11.5kgのオス熊で、1歳前後の子熊であった。体長の割にはかなり痩せた熊であったという。 親とはぐれた子熊だったのだろうか? 親はすでに駆除されて孤児となった子熊だったのだろうか? そう考えるとかわいそうにも思えますが、放置すればいずれ人身事故が起こる可能性もあるし、アーバンベアとして居付き成獣になった時が恐い。
イオンの対応が適切に出来たのは、子熊であった事が不幸中の幸いであったと思います。それと、売場に客の少ない雑貨コーナーであった事もスムーズに進める事が出来た。 これが、1mを超える成獣であった場合にはうまく囲い込む事が出来たかは分かりません。そうなった場合に、冷静に防火シャッターを下ろして封鎖する事が可能だっただろうか?それが出来なかった場合、客の多い食品売場に入り込んで犠牲者を出していた可能性もあった。 食品売場につながる国道側入口は手動で開閉するため、自動で開閉する正面口からの侵入であった事。当日は日曜日で、正面口にある北都銀行が休業であった事もあって人通りが少なくて人との接触の機会が無かった。反面、人通りの少なかった事が熊の侵入を許し、侵入するまでその存在に気付かなかった。 もし客が多いと、侵入後に鉢合わせし熊がパニックになって暴れ回っていた可能性が高い。客入りの少ない売場であった事も不幸中の幸いであった。
イオン能代店に熊が侵入する前に、熊の目撃情報がありました。

クマダスによるイオン周辺の熊の目撃情報マップです。 ①がイオン能代店で、今回の熊が侵入した場所。 ②が能代市役所で、侵入当日の午前7時55分に一頭の熊が目撃されていた。その熊は畠町方面に移動したとされ、イオン能代店とは反対方向になりますが、放浪してイオン能代店にたどり着いた可能性もあります。 問題と思うのは、③で目撃された熊。侵入当日の午後1時半頃、能代科学技術高校(旧能代工業)の辺りで子熊と思われるものが目撃された。つまり、イオン能代店の熊とは別の個体という事になります。駆除された熊とは兄弟で、お互いにはぐれたのだろうか? それとも、他人? いずれにしろ、もう一頭の熊が市街地を徘徊している事になります。
11月5日 午後1時過ぎに、向能代で一頭の熊が駆除されました。


向能代地区では、広い地域で毎日の様に熊の目撃情報がありました。その頻度は、他の住宅地では見られないほど頻繁でした。そのため、数頭の熊が徘徊しているのでは? と思われました。しかし、5日の駆除以降は熊の目撃情報がなくなった。その安心感からか、自動ドアを手動に変えていた店舗も自動に戻した所も・・・ それから数日後、向能代地区で熊の目撃情報が相次いだ。もしかしたら、駆除された事で新たに入り込んで来た熊かもしれません。
里に出て来た熊は無数にある柿などを食べて、やがて山に戻り冬眠をするかもしれません。しかし、市街地に出没する熊は生ゴミ以外にこれといった食べ物はないと思います。だから、イオンで駆除された熊はうまくエサを探す事が出来なく痩せていました。それでも、生ゴミの味を知った熊は冬眠をする事無く街中を徘徊し続けると思います。そんな中で、飢えた熊の行動を予測する事が出来ない。
能代はすっかり冬模様。

冬型が強まり、写真が撮影された頃の午後4時27分に今期最低の0.8℃を記録しました。うっすらと雪が積もり、道路はシャーベット状になっています。 市街地に出没する熊は、どこで寝ているのだろう? 飢えた熊にとっては、厳しい寒さです。


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