「お客様は神様です」
といえば、三波春夫さんがステージ上で満面の笑みで言っていた言葉です。
事の発端を調べてみると、1961年頃に自分のステージ上で司会者との掛け合いの中で生まれた言葉であるとされている。司会者が「お客様をどう思いますか?」という問いかけに対して、三波さんは「お客様は神様です」と応えた。それ以降、ステージ上のパフォーマンスとして言い続けて来た様です。芸能人である以上はファンを持たなければ仕事が成り立たず、ファンが多ければ多い程に自分の収入が増える。ステージでの成功は、テレビの出演等にも影響する。芸能人にとって、ファンというのは絶対者なのであろう。
他の業種でも、絶対者的な上下関係は必ず存在すると思います。一般的に多い業種としては、客に物を売って利益が発生する小売業ではないだろうか。利益を多く得るためには、価格であったりサービス等で他の店との競争に勝たなければならない。これも、客が多ければ多く入る程に利益が発生する。小売業にとって、客は絶対者という事になってしまう。
その構図からすると小売業というのは最低辺の職種に見えるが、通常の商品は卸売店を通して流通します。卸売店では、小売店から商品を買ってもらわないと会社は存続しない。この場合には小売店の方が優位に立つ。 製造業であるメーカーも、卸売店で扱ってもらえなければ自社の商品を流通させるのが難しくなる。客に商品が届くまで様々なルートがあるが、いずれも各社の営業努力によって成り立っている。 スーパーという業種が出始めた頃、ダイエーがあまり商品を安く売るのでメーカーでダイエー向けの出荷を止めたと聞いた事があるが、現在は独占禁止法で出来なくなっている。必ずしもメーカーが最上位にいる訳ではない。
建設業の場合はどうなんだろう。 大手建設会社には、下請けや孫請けという言葉を聞く。下請け・孫請けは、大手の意向に合わないと仕事が回って来ないため大きな仕事が出来ない。その点は製造業も同じで、会社存続のために営業努力が必要になってくる。 大手も仕事を得るためには、入札があったりそのための認可が必要であったりする。民間企業のほとんどは、何かしらの営業努力をしないと企業として存続が出来ないだろう。そのため、多種多様の絶対者である神が存在する事になる。 かつて、国鉄や郵便局といった「親方日の丸」の企業があったが、その企業自体が絶対者的存在に感じていた。
合法的な事業を行う上では、何かしらの認可や免許が必要になってくる。それらを下すのは役所で、役人がその判断を下す事になります。民間企業であれば、それらを得るために大・中・小企業を問わず役所詣でをしなければならない。それらを無視して営業を続けた所は摘発され、営業停止もしくは営業取消の処分が下される。そういう意味からすると、役人が絶対者で神様という事になってしまう。 ただその役人も、地方の役所は中央の役所の意向に沿わなければ予算がもらえないし、中央の役人は政治家の意向に沿わなければ出世する事が出来ない。 政治家も国民の投票によって選ばれる訳だから、構図的には絶対的な神様は存在しない事になっている。 中には、そう思い込んでいる政治家や役人がいるかもしれないが・・・。
「第一観光バス株式会社」が、3月16日付の北羽新報に出した広告です。 第一観光バスは能代市二ツ井町に本社を持ち、能代市・大館市・鹿角市で貸切バスやタクシー等の事業を行っている会社です。
広告には具体的な事例は示されていませんが、たぶんタクシーにおいて理不尽なクレームや過度な要求があったと思われます。会社としては、今後その様な場合には毅然とした対応を取る! と書かれている。けして「お客様は神様ではない」のです。 その様なクレーマーから、自社の社員を守る事も重要な事だと思いました。
自分は長い間 小売業に就いてましたが、多種多様なクレームは多く有りました。理不尽なクレームも珍しい事ではなかったが、幸いにして過度な要求をされた事はなかった。店側に非がある以上はだまってそれを受け止め謝る以外に方法はなかったが、客の怒りの言い方には個人の尊厳など吹き飛んでしまう。店側にそれなりの非がある以上、黙ってそれを受け止め謝る以外に方法はなかった。それが理不尽なクレームでも、反論して怒りを増幅させるよりは、何とか収拾させる事を考えるより他はなかった。少しでも非がある以上、客の方が立場が上になってしまう。 小売業は、客がお金を支払ってくれる事で仕事が成り立つ。そのため、そう思う客もいるかもしれない。役人に「お前らのために税金を払っている」 と言う人もいるが、たぶん払っている税金以上の恩恵をその人は受けていると自分は思う。
飲食店での迷惑動画が多く報道されています。ウケたい・目立ちたいと思ってやっていると思いますが「お金を払っている客だから」と、それが許されると思い込んでいる人もいるかもしれない。それに対して、それ相当の損害請求をするという毅然とした対応をする企業も多くなってきた。ただ企業として、出来るだけ客とのトラブルは起こしたくないと思うのが本音だと思う。 タクシーでも迷惑な客がいる。酔っぱらいによるものが多いと思うが、障害や器物損壊でも侵さない限りは大事にしなかったと思う。酔っ払って他に捌け口を持てない弱い人間かもしれないが、ドライブレコーダーに証拠が残る以上、暴言でも刑事事件に発展するかもしれない。 タクシードライバーほど危ない職業はないと思う。不特定多数の人間を相手にして、個室に籠もる事になる。なおかつ、武器を持つ事が出来ない。
客がクレームを言いやすい職種は、小売業やサービス業が多いと思います。それらの職種は、賃金が安く客に頭を下げなければならない職種であるため人気が低い。そのため、慢性的な人手不足になっている。それらを改善するためには、賃金を上げたり仕事の環境を良くしていかなければならないだろう。それらに掛かる費用は、全て消費者に掛かって来る。
同じ問題と感じるのが、宅配便の再配達問題だと思っています。以前よりは少し下がって来ている様ですが、それでも11〜12%ほどの再配達がある様です。しかも、時間指定の荷物でも不在の場合があるという。運転手が不足している中で、燃料費高騰の問題から業者としては大変な問題と思います。ただ、仕組みにも問題があると思います。受け取る側も、いつ届くか分からないものに時間を取るわけにはいかない。
最近のアマゾンからのメールで「受取スポット」を指定して注文をすると、割引になる様な事が書かれていた。そのスポットが近くにあり、自分で運べる程度の荷物であればその制度を利用した方が得になると思う。 再配達も、有料にすれば再配達は大きく減ると思う。それが嫌であれば、集配所に荷物を取りに来てもらったらいい。ただ、大型家電等は引き取りが無理と思うから、配達する前に何かしらの連絡を取り合う必要がある。お互いに手間の掛かる事ではありますが、再配達になるよりは楽になると思います。 とにかく、日本のサービスは過度の様な気がします。 「お客様は神様ではない」 のだから。
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4月2日付けの北羽新報。
第一観光バスの広告がネット上で拡散し、閲覧数は1450万件を超え、「いいね」も12万件付くなど反響があったらしい。 能代は狭い街だから、当事者の目にも入っていた事だろう。もし当日の記憶が定かであれば、かなり気まずい思いをしたと思う。 しかし、なんだねぇ〜。感じる事はみんな同じなんだなぁ〜。
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