「2022年 能代市長・市議選結果」に思う事

選挙も終わった! 市長・市議選は、国会・知事・県議選と違い立候補者数に対して回る地域が狭いため、一日に数人の立候補者が回って来るし同じ人が何回も来る事になる。大音量で名前を連呼するやり方は、選挙の度に嫌気が差す。それが終わった事で、ようやく静音な日々に戻った。 市長・市議選の投票は17日に行われ、即日開票でその結果が出た。

「斉藤滋宣・現市長」が5選を果たした。対抗して立候補したのは「落合康友・前市議」で、34歳の若い方です。斉藤さんが落合さんに3,087票差を付けて当選したのは、市政に安定性を求めた結果だと思います。斜陽の続く能代にとって、洋上風力発電や中国木材の誘致は大きな実績として感じたのかもしれない。しかし、現市長がまだ69歳である事と4選の実績から考えると、3千票余の差は落合さんがかなり健闘した結果だと思います。というよりも、多選の不満や斉藤市政に不満を持っている方がかなり多いという事になると思います。斉藤市政の16年間も人口減少は止まらず、たぶん5選目も状況に変化は起こらないのでは? と感じます。堅実な市政ではあると思いますが、何か思い切った事を行わないと状況に変化は起こらない様に思います。

能代市長選が告示される数日前に、両立候補予定者による公開討論会が行われました。その討論会では双方の持論が展開され、それに対しての討論が行われた様です。 その時の討論会の内容を読むと、能代が誇れるものとして、両者とも「自然資源・食料資源・エネルギー資源」である事が一致している。それらを活かすためには若い力が必要で、落合さんは移住者を呼ぶ政策が必要であると言っている。一方の斉藤さんは、若い人が住み着くには良質な雇用の場が必要であると言っている。

今後の産業振興に関して落合さんは「持続可能な農林業」の振興を掲げている。自立出来る農業を構築するためには、6次産業が必要であるという。6次産業とは、1次が生産・2次が製造・3次が販売の全てを加算すると6次になるらしい。つまり、原材料の生産を自ら加工・販売して行うという事になる。ただこれは今々の考えではなく、大潟村では随分昔から行われていた。これが軌道に乗れば、儲かる農業を行う事が出来る。例えば、商品にならないB品などは産直で安く販売するか、家畜の飼料か廃棄しかなかった。それを漬物や菓子、ジャムや調味料などに加工して販売する事によって付加価値を得る。 もう一つ掲げているのは「宇宙産業の振興」。現在 能代には「JAXA 能代ロケット実験場」がある。それを活用しようというものだろう。 斉藤さんは、現在進行中の継続という事になる。中国木材の進出によって、286億円の投資と従業員250人の雇用が生まれるという。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、風力による再生可能エネルギーを能代に活かしたいという。 それに対して落合さんは「洋上風力発電による再エネ賦課金」の問題を言っている。つまり、それによる電気料金の値上がりがあり、市民にとってメリットは無いのでは? という事。経済的な考えから、公共施設への薪ボイラー導入でコストが減ったという例を上げている。しかし、それはカーボンニュートラルとは真逆の考えとなる。

10年後のビジョンに関して落合さんは、廃校舎等を活用した大学・教育研究施設の誘致などを進め、教育を魅力にして人が集まる街にしていく。そのために、福祉サービスの充実・移住支援制度によって若い人を取入れていくとしている。 一方の斉藤さんは、良質な雇用を生み、所得水準を上げていかなければならないと言っている。いずれも能代の一番の問題である「少子高齢化」「人口減少」の課題に対しての取り組みと感じる。その中で斉藤さんは、教育に多額の費用を投じても卒業後にその受け皿がなければ、結局は能代市外へ流出してしまう事になると言っている。確かに、その通りだと思う。 そのための大手企業の誘致、現在 中国木材の進出が決まっているが、賃金・福利厚生の水準が高いため労働者にとっては良い環境になる。 それにより地元企業には人材が集まらず、会社として存続出来なくなる企業も出て来るかもしれない。大手企業の場合、その地が合理的でないと判断された場合は撤退される恐れがある。その時に能代には、残っている企業が無いのでは? と、落合さんは言っている。 自分が思うに、商業施設より遥かにその可能性は低いと思う。それよりも、大手企業が進出する事によって、それに関連する企業の進出もありえそうな気がする。

斉藤市政が引き続く事によって、大きな変化はない様に思う。 ウクライナ状勢によってエネルギーが問題になっている。資源の少ない日本にとって、再生可能エネルギーの水準を上げる事は急務になる様に思う。国策で進められている洋上風力発電や、その電力による水素ガスの生成はより推進されるかもしれない。それのどの位が能代に還元されるかは分からないが、今よりは良くなる感じを受ける。 今回の市長選は圧倒的に斉藤さんが勝つと思っていたが、その差は予想以上に少なかった。多選を嫌う人も多かったのだろう。ただ安定性を考えた場合に、斉藤さんを選んだ人も多かったと思う。自分もそう思って、一票を投じた。

今回の市議会議員選挙はおもしろかった。そういう風に言うと不謹慎と思われるかもしれないが、今回の選挙では新人が8人も立った。元職が二人加わり、現職としてはかなり緊張を強いられた選挙になったと思う。そんな中で、5人が立候補をしない事になった。落合さんは市長選に出るためで、佐藤智一さんは来春の県議選に立候補するためだとされている。残り3人は、年齢的な引退だと思われる。20の議席を24人で戦うという、近年にない競争になった。そういった事から、今回の選挙はおもしろいと感じた。 そして、その結果は・・

1位で当選した「鍋谷暁」さんは、今回の立候補者の中で一番若い方で新人です。鍋谷製麺所の社長で、たぶん政治的経験は無い方だと思います。それでも2位に倍近い票を集める事が出来た。3,579票は、2006年の二ツ井町との合併後では最多の得票数である様です。それほど彼に人脈や人気があったのかは分からないが、知名度はあったと思います。1〜2年位前に父親が若くして亡くなり、その後を彼が引き継いだ事は新聞の記事にもなったし、新しい商品に取り組み新聞やテレビに出た事もあった。新しい事に取り組む姿勢が、印象として残っていたのかもしれない。前回の市議選では新人として立候補した「大高翔」さんが4位で当選した。当時の彼は26歳の宮司で、桧山茶を細々と引き継いで生産していた。そのため彼にも政治的経験は無かったと思うし、能代市内で彼を知る人はほとんどいなかったと思う。彼が有名になったのは、市議選の少し前に「NHK 鶴瓶の家族に乾杯」という番組で出た事。

https://twitter.com/hiyamatya/status/1323249130928545795
檜山茶
檜山城主・多賀谷氏の時代、1730年頃に京都の宇治より茶の実が持ち込まれました。その実を一帯に植えたのが、檜山茶の始まりです。檜山茶は江戸時代に植えられてから280年間、品種改良もされずに栽培されてきました。現在は2戸で栽培されており、北限のお茶として・・

彼の作っている「桧山茶」は高価なのですが、生産量が少ない事もあり入手困難になる事があった。そういう事があったから立候補を決めたのか分からないが、メディアで知名度が上がった事は有利であったと思う。

2位で当選した「渡辺優子」さんは常に上位で当選しているし、新人の「相場未来子」さんは15位で当選した。いずれも政党に所属しているため、組織票がハッキリしている結果だと思う。 3位で当選した「小野立」さんは前回の市長選に立候補をするため市議選に出馬しなかった方で、相変わらず人気は高い様に思われた。 今回 現職で落選したのは「原田悦子」さんのみで、今回の立候補者の中で一番の高齢者でした。その辺も票を得られなかった原因かもしれない。やはり若い人が当選すると、議会に活気を感じられる様に思う。

前議員の任期中の一般質問登壇状況です。傾向として、ベテラン議員ほど登壇回数が少ない様に見える。議員の仕事というのは普通の生活では見る事が少ないので、議場での一般質問の回数がその議員の積極性を感じる目安になると思う。そういう意味では、安井和則・針金勝彦両議員は中年位の年齢にもかかわらず質問回数が一回というのは、議員活動に消極的であると判断される。しかし両議員とも当選しているので、要は自分の地盤でいかに密着して仕事をしているのかが重要なのかもしれない。根本的に候補者一人当りの獲得票数が少ないので一票一票が大事になってくるし、数票で天国と地獄に分かれる事も珍しくない。確実に投票してくれる人を確保出来るかが、当落に影響すると思う。

能代市長・市議選告示の二日後に、八峰町の町長・町議選が告示された。しかし・・・

選挙は行われず、告示当日に無投票で町長・町議が決まった。随分前から新しい候補者の出る気配がなく、無投票で終わりそうな事が言われていた。人望があって、対立する必要がないという事なのだろうか? 平和的で良いと思うが、何か寂しい感じがする。 前回の町長・町議選もそうだった。森田町長は初めての町長選の出馬で、無投票で当選した。つまり、今まで一度も選挙で戦わずに町長になった。 前回の町議選は、もっとひどい様に感じていた。12人の定数すら集まらなかった。仕方がないので、旧峰浜村の元村長であった田村さんが立候補を表明して数を合わせたと記憶している。それで無投票で終わるのかと思っていたら、土壇場になって一人が立候補した。その結果、選挙戦が行われる事になった。その人が最初から立候補の意思を表明していれば、もしかしたら田村さんは立候補しなかったかもしれない。

今回の町長・町議選は無投票で終わる公算が強かったが、土壇場で何が起きるか分からないため選挙の準備をしておく必要があっただろう。告示から投票まで5日間しかないため、告示前までに全てを準備しておく必要がある。しかし、選挙が無投票で終わればそれらは全てが不用になってしまいます。ポスター類は古紙に出すしか方法はないだろうし、なぜか蛍光カラーのジャンパーは他に使い道がない。その他に色々な物が不用になるだろう。本当に無駄な様に感じた。 それらがどの様に決められているか分からないが、選挙自体のやり方を変えればそれらを防げる様に感じた。例えば、告示の一ヶ月位前までに立候補予定届けを出してもらうとか。それで定数以上の候補者が現れなければ、無投票当選が決まる。そうすれば選挙運動の準備は必要が無くなるし、役所でも投票準備をする必要がなくなる。ただ、選挙運動に関する業種の方々は収入を失う事になるが・・・

能代市長・市議選は、4月10日告示・4月17日投票という日程で行われた。新人が多く出て選挙も盛り上がるかと思われたが、投票率の結果は過去最低の65.15%であった。これは、前回の選挙よりも1.2㌽ダウンであるとされ、投票率は毎回毎回下がり続けている。今回は新型コロナの影響も多少はあったかもしれないが、政治への関心が薄れているという事になるのだろう。投票者数の56%に当たる人が期日前投票を利用したとされているが、期日前投票をするには氏名を記入し、当日投票出来ない理由を記さなければならない。大した手間ではないが、期日前投票が当たり前となった今では何か不要の様に思える。

投票後は即日開票され、市長選はPM9:15頃に当確が出て、市議選はPM11:00頃に大勢が分かるとされていた。開票は能代総合体育館で行われていたが、選挙結果を早く知るには開票所に行かなければならなかった。市のホームページがあるのだから、それに開票速報を出されないかとは常々思っていた。先の公開討論会はライブ配信もされていたので、技術的にはライブ配信も問題がないと思う。(選挙法ではどうなのか分からないが) 市のホームページではリアルに投票結果が分からないのは知っていたが、何か情報は載っていないかと思いPM11:00頃にアクセスしてみました。しかし、ホームページには全然つながらない。たぶん自分と同じ思いの人がたくさんいて、アクセスが集中したのかもしれない。しかし、集中とはいっても能代の一部の人でそれほどの大人数とは思えない。どこのサーバーを使っているのかは分からないが、あまりにもお粗末の様に思えた。数日前に防災無線の内容が分からないためアクセスしたら、これもつながらない。もし災害時に情報を知りたいと思った時、この様な状態だと命にかかわる恐れがある様に感じた。まして緊迫している国際情勢で、今後何が起きるか分からない状況にある。これからは、ネットを活用した市政も必要なのではないかと思った。

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