暑さ寒さも彼岸までと言う。 ようやく春を感じさせる様になってきた。大きく息をを吸うと はるのかまり がする。四季の中で、春が一番好きだ。
ばっけ は少し前から出始めているが、家のばっけの生えている場所は日当たりが悪く、最近まで雪が残っていたので芽出すのが遅い。ばっけは春の味覚として食する方も多いと思うが、自分が以前に調理したばっけは苦くて全然美味しくなかった。それでもせっかく作ったモノだからと思い無理に食べたら、胃をおかしくしてしまった。それ以来調理しようとは思わなくなった。でも、他人の作った「ばっけ味噌」は美味しく思い、好物になっている。
水仙も葉を出し始めた。
春には、独特の「かまり」を感じる。そのかまりは土・山であったり、空気であったり、日差しであったりと、においというよりも環境もあるのかもしれない。 春は人の生活を大きく変える事が多い。卒業と入学、そして初めて社会人になる事等々。今までに経験をした事のないモノが多くやってくる。その時に感じたにおいの記憶が、そのまま「はるのかまり」として頭の中に植え付けられ忘れられなくなる。
新社会人となったのは、3月4日であった。3月3日に開店する、新店舗の募集に対しての採用であった。3月3日が丁度卒業式に当たり開店に合わせての入社にはならなかったが、会社からは「卒業式が終わってからすぐに出社してください!」と言われた。「それだけは、勘弁・・・・・」と翌日からの出社にさせてもらったが、特に用事は無くまだ友達と遊んでいたかったという気持ちがあったのかもしれない。採用が決まってからは冬休みにバイトで会社に行っていたし、学校の授業は2月の中頃で終わっていたので、それ以降すでに仕事を始めていた。 正式に入社となった時でも顔見知りが多く、特に緊張をする事もなく毎日が新鮮で仕事が楽しかった。
新規開店で、とにかく忙しかった。 その時売場には、大量のイチゴが積まれていた。値段が安かったのだろう、すごく売れていた記憶がある。店内はそのイチゴのにおいで充満していた。今でもスーパーでイチゴのにおいがしてくると、その時の事を思い出す。
「カネボウ・タンメン」が、当時大ヒット商品であった。
その商品も目玉商品であったのだろう、それが大量に積み上げられ売られていた。当時はこのタンメンがお気に入で、カップ麺といえばタンメンだけを食べていた。一緒に「ラーメン」? という名前がシリーズで販売されていたと思うが、タンメンの方が圧倒的に美味しいと感じた。 カネボウ食品は後に加ト吉に吸収され、現在は「テーブルマーク」ブランドで販売されている。カネボウ時代から引き続き販売されているモノに「ホームラン軒」があるが、タンメンとは全然違う味に感じる。仮に復刻版として出たら是非食べてみたいが、40年以上も前に販売された味だから現代に通用するかは分からない。
タンメンの 「かまり」 は、もう嗅ぐ事はないだろう。
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