天然秋田杉製ギター

新聞の広告に、天然秋田杉製ギターの販売が載っていた。


ギターのトップ(ボディの表面部分)に、天然の秋田杉が使われている。
能代市畠町にある楽器店 「Home Bound」 が製作したギターだが、ここは工房ではなく社長が素材を調達しプロデュースした感じです。構想から製作まで、5年程かけて完成した様です。社長が言うには、「想像以上の音色。音域が広く、強弱を付けやすいギターに仕上がった」 と、言っている。 Home Boundは比較的最近出来た楽器店だが、能代には珍しくプロっぽい楽器店に感じる。

今回ギターに使用した天然秋田杉(天杉)は、能代市の材木屋に在庫として残っていた樹齢200年の天杉を加工して製作した。現在は天杉の供給が停止されていて、原木では手に入らない。材木屋に残っていた天杉は、15年以上自然乾燥させた天井板で、その板をギター用に加工された事になる。劣化しにくく調湿効果の高い天杉が、このギターの出来具合に大きく関係した様です。この天杉の天井板の在庫はギター100台分とされているので、とても貴重なギターという事になる。 広告に値段は記載されていなかったが、製品名から TAS-00028が28万円でTAS-00042が42万円だろうか? 大きな違いは、42の方が一枚板で作られている事に対し、28の方は板を二枚合わせて作られている。単純に考えれば、42で出た端材で28が作られた事になるのだろうか?
秋田杉には、天然の物と人工林で育成された物がある。通常 秋田杉と呼ばれている物は育成された物で、天然物である天杉は別格な物です。寒冷地で育った杉は生育が遅く、木目の詰まった美しい木材になる。それでも人工林で育った杉は、育ちやすい様に管理されているので成長が幾分か早い。 それに対し天杉は、劣悪な環境の中で育つので木目が詰まり、美しい柾目が出る材木になる。樹齢も数百年になる丸太が多く、大きな板材を作る事が出来る。

杉は日本の固有種で無尽蔵にあり、柔らかく加工しやすいため昔から多く利用されてきた。戦後復興のため木材が大量に必要となり、伐採のためにハゲ山も多く見られる様になった。そのため1960年代から 「拡大造林政策」 が出され、杉の植林が進んだ。その時に、無用のブナ林が伐採され杉林が作られた事になる。そのため現在の秋田杉は、樹齢が50〜60年程の杉という事になる。 スギ花粉の飛散が多くなるのが、樹齢30年程からとされている。拡大造林政策によって大量に植えられた杉の影響で、30年程経ってからスギ花粉症が出始め現在に至っている事になる。

自分は昔、ギター少年であった。しかし、現在は弾いていない。


今までずっと保管はしてあるが弦は張っておらず、レストアが必要と思える部分もある。

天然秋田杉のギターは買えないし、欲しいとも思わない。ただ、樹齢200年の音色を一度は聞いてみたい。

※2021年現在、homeboundは営業していない感じ。少なくとも、畠町にある店舗は開いていない。

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