能代は求人難?

12月1日付の北羽新報で、10月の能代管内の有効求人倍率が発表された。

秋田県全体の求人倍率も高く、全国で3か4位の高水準な求人倍率だそうです。その中でも能代が一番高い様でした。労働者にとっては仕事を自由に選ぶ事が出来るという、とても良い環境の様にも見える。しかし、その環境はけして良い物ではないと自分は感じている。

職種別に見ると「建設関係技術者」「看護・保健・社会福祉」が3.38倍と高い。これらの職種は、慢性的な人手不足になっている様です。それらの仕事に就くにはそれなりの資格が必要だろうし、雇い主は若い人手を欲していると思います。 しかし・・

毎月「能代山本の人口と世帯数」が公表されている。それによると、11月1日現在の人口は、全体で前月比92人の減少になっている。前月比減は198ヶ月連続で、つまり17年近く人口が減り続けている事になる。その要因となっているのは自然減で、出生15人に対し死亡が84人であった。つまり、若い人が少ないから出生率も下がる事になる。それは能代山本に限らず、秋田県全体の大きな問題にもなっている。

「調理・接客販売等のサービス業」の求人倍率が一番高く、3.88倍であった。その要因の一つが、11月27日にオープンした「イオンタウン能代」関連の求人だろう。それなりの規模の店舗である事から容易に想像がつく。イオンが進出する事によって雇用が増える事は大きなメリットでもあった。 一方で「事務職」は0.48倍で、ディスクワーク中心の仕事は少ない。また「生産工程のパート」は0.78倍で、いずれの場合も希望する職種に対しての求人が少ないという事になる。確かに仕事は増えているが、魅力のある仕事が少ないというのが現状だろう。

小売関係・福祉関係は、人気のない職種である様に思っています。その原因となっているのが、仕事による生活の不規則が考えられる。どちらもほとんどの職場は365日稼働し、一日の稼働時間も長い。そのため、交代制による仕事によって生活のリズムが乱れる。また、土・日・祭日が休めないため、一般的な休日とは異なる事になる。自分は長年その仕事に就いてきたが、原則として土・日・祭日に休む事は不可能であった。特に正月・お盆は絶対に休む事が出来なかったため、家族とはまるっきり別の生活になる。繁忙期を過ぎてから正月・盆休みを取る事になるが、何処の観光地に行っても閑散としていたり休みになっている所も多かった。長年の慣れか自分的にはそっちの方が好きだったが、子供を持つ家庭では大変だと思う。また、町内の活動には一切関わる事が出来なかった。村八分とまではいかないにしても交流はほとんど無く、長年住んでいても知らない人が多い。

小売・保健・福祉関係の仕事は賃金が安い。今後、保健・福祉関係の賃金は上がる様ですが、小売業の賃金は定められた最低賃金の所が多い様に思います。自分の感覚で実状はよく分からないが、生産・建設の現場では決められた時間中動いていなければならない。しかし、小売業はヒマな時間も存在する。その時間に何をするかはその人の資質によると思うが、四六時中働いているという認識は自分にない。 稼働時間が長い分、その中で自分の時間の都合が作れるのはメリットだと思う。調整は必要であるが、労働時間内に病院へ行ったり用事を済ます事も出来る。全ての会社が可能かは分からないが、自分の居た所は自由にやり繰り出来た。反面、工場などの様に定時でタイムカードを押せるのを羨ましくもあった。 そういった部分から、賃金が安く設定されている部分があるのかもしれないと思っている。

能代山本では高齢化が進み、それに関連した施設も多く作られている。そして今・・

大規模な高齢者施設が建設中です。

2022年3月オープン予定で、20人前後の募集人員になっている。保育園も併設する予定になっているので、今後は募集人員が増える事になるかもしれない。これにより、保健・福祉関係の求人倍率は上がる事になるだろう。

この施設「さらさ」を運営していうのは、秋田県横手市に本社を持つ「JAWA秋田」です。2010年に「介護付き有料老人ホーム・さらさ横手」を開設してから、秋田県内で10ヶ所程の施設を運営している。会社沿革を見ると、2018年に秋田県内の事業所を独立してJAWA秋田を設立と書いてある。 JAWAの事を調べてみると、愛媛県松山市に株式会社JAWAという介護サービスの会社があった。2018年10月に、株式会社ソラストがJAWAの全株式を取得した。2018年のJAWAの経営状況を見ると、9月30日決算で4700万円以上の赤字経営になっていた。それ以前の利益剰余金が6500万円の赤字なので、単純に1億円以上の負債を抱えていた事になる。ソラストがJAWAの負債を引き継いで、事業を継続したという事になるのだろうか? JAWA秋田と愛媛県のJAWAと関係があると断定出来ないが、設立が2018年4月9日である事から、ソラストに吸収される前に秋田県内の施設を別会社として設立したと考える事は出来ないだろうか。 株式会社JAWAは2021年4月1日に株式会社ソラストと合併し解散したため、現在この会社は存在していない。

さらさの経営状態は分からないが、この会社のTVCMをよく見る。おばあさん版とおじいさん版があるが、おじいさん版のCMがおもしろいと自分は見ている。

テレビでCMを流すくらいだから、それなりの資金のある会社だと思う。

さらさのホームページを見ると、かなり充実した施設である様に感じる。そして、食事にも力を入れている様にも感じた。ずいぶん贅沢な食事内容に見えるが、たぶんそれなりに管理はされているだろう。毎日が病院食の様な食事だと、生きている喜びがなくなる様に思う。少し前に亡くなった「瀬戸内寂聴」さんをテレビで見ると、高齢者とは思えない食事内容であったりお酒も飲んでいた。それが生きる活力になると思う。 ただ、待遇が良くなると必然的に料金も高くなる事になる。ホームページに書かれている料金を見ると、月に20万円近く掛かる事になるのかな? それ以上の年金を取得している方か、家族でそれを負担出来る程の財力がなければ入居する事が出来ない。もしそれを支払う事が出来るのであれば、一人で暮らすよりも快適な老後を過ごせる様に感じます。

さらさの広告を見ると「能代駅前に建設中」と書かれてある。しかし・・

その表記には大きな間違いがある。赤丸印の所が能代駅で、さらさとは100m程の距離で駅が近い様に見える。しかし建設中の場所は駅裏で、駅まで徒歩で10分近く掛かる。ちなみに、一番近くのバス停にも10分近く掛かる。誰も徒歩で利用する人はいないと思うが、こういう「アラ」を探すのが好きだからしょうが無い。

パート職員募集の広告には、その仕事の時給が書かれている。自分が勤めていた小売業と比べると高い様に感じるが、介護職等の相場が分からない。もしこの賃金が他の介護施設やグループホームなどよりも高い様であれば、現在勤めている所をやめてこの施設に応募する可能性もある。社会福祉等の求人倍率が3.38倍である事から、仕事は増えても新たに人を探すのは難しい様に感じる。労働者にとって仕事を選ぶ事が出来るのは良い事ですが、それにより人材不足で小さな事業所の経営が厳しくなる可能性もある。それは小売業も同様で、イオンタウンが出来た事で3.88倍の倍率の中から人材を確保しなければならない。当然、待遇の悪い所から人材が流出する可能性もある。 イオンを誘致する時に大量の雇用を期待出来るとされていたが、それを望む雇用が少ないというのが現状だろう。有効求人倍率が2.01倍と高水準であるが、希望通りの仕事が無いから仕方なく小売業や社会福祉業に就いている方も多いかもしれない。

小売・サービス業や福祉・医療業は、ほとんどが能代市内の内需によって賃金がまかなわれる。つまり、外からお金が入ってくる事は少ないので、仕事はたくさんあっても能代の発展にはならない様に感じる。まずは、製造業を拡充する必要があったのではないだろうか。製造業であれば能代市外に商品を売り込む事になるので、外からお金が入って来る事になる。その中で賃金が支払われる事になるので、能代で多くのお金が動く事になる。それから小売業を拡充するのが順番では? と自分は思う。 税や土地などの特別待遇で、企業誘致に取組んだのだろうか? 仮に一流企業を誘致する事が出来るのであれば多くの若者が能代に定着するし、能代近郊の地区からも人が定着するかもしれない。また、大卒の方も地元で職を見付ける事が出来るかもしれない。 イオンタウンの誘致は、税収の増加と、建設業のための一時的な潤いのための安易な政策の様に思えた。

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