今年は、5月28日に八森へタケノコ採りに行って来ました。
去年は・・・

大館市田代へタケノコ採りに行ったのですが、その収穫は十和田に遠く及ばなかった。
例年、タケノコ採りは十和田に行っていました。 しかし・・・

「十和利山熊襲撃事件」以降、実質 入山禁止になってしまいました。 しかし、ほとぼりが冷めた頃から入山禁止を無視してタケノコ採りに入る人が多くなっていました。自分達もその輩でしたが・・ 事件以降は熊による事故は発生しなかったのですが、入山者が多くなって来たせいからか監視員が付く様になりました。そして、自分達も退山を命じられました。こんな状況で「自己責任」と言う人もいるだろう。しかし、事故が発生すると迷惑を被るのはその地区の住民です。採取者の中には、牧草地に車を乗り入れる人もいる。地元住民の中には、怒りを感じていた人もいたと思います。元々 タケノコ採りをしている区域は、おそらく民有地と思われます。言わば、採取者は不法侵入と言われても文句は言えない。邪魔にならない程度であれば放置していたと思いますが、事件以降は放置出来ない気持ち変わった。そこで、行政と協力して完全締め出しに変わったのでは? と、自分は思っています。
十和田へタケノコ採りに行く様になって20年以上経ちますが、それ以前の山菜採りは「八森周辺」が主でした。しかし、自分達の採取方法が悪かったのか、段々と採れなくなって来ました。そのため、市場開拓で見付けたのが熊取平だったのです。自分達は「ケド端捜索隊」なので、無理な行動はしません。そんな中で、熊取平は自分達にとって最適な場所だったのです。しかも、八森より量も質も良い。 以降、タケノコ採りは十和田と決まったのです。
田代は山深いので、良いタケノコが採れる事は知っていました。去年、田代へタケノコ採りに行って採取場所は分かりました。しかしそこは、ケド端捜索隊の行ける場所では無いと分かった。そこで再び「八森はどうなっただろう?」と、思った。
林道入口には、熊への注意喚起看板があります。
昔から設置されている物で、熊の生息域に入り込むリスクは今も昔も変わりません。
かつてタケノコ採りをした場所に行ってみると、そこは藪になっていました。
当時は車で奥まで入り込む事が出来たのですが、道路は藪に覆われてしまっています。その藪を漕いで、目的地に行く勇気は自分にない。遭難の心配は無いのですが、かなり不快で難儀な事になりそう。ケド端捜索隊は「からぽやみ」でもあるのです。 少しでも人の入った形跡があればタケノコのある可能性があるのですが、それも見当たらないのでリスクが大きい。何か、場所全体が大きく変わってしまいました。この場所ではワラビも多く採れたのですが、今は一本も見当たらない。 この場所で採取するのはあきらめ、先へ進む事にします。
林道脇には笹薮を多く見る事が出来るのですが、いずれも細い竹ばかりです。こんな場所にもタケノコは生えるのですが、小指の太さにも満たない細いタケノコです。最低でも親指程度の太さが欲しい。昔はこの林道を奥まで入らなかったのですが、今回は行けるとこまで行って探す事にします。
林道をゆっくりと運転しながら、前後左右に目を凝らす。林道の左右の竹藪を探しながら、後続車や対向車に気を付ける必要が有ります。今回は一台の車ともすれ違わなかった。ゆっくりと採る事が出来る反面、タケノコが生えてないないから人が来ないという可能性もある! という不安も出て来た。
車を走らせながら太い竹の藪を見付けると車を止めて探す!というのがケド端捜索隊のやり方ですが、その藪を見付けれないまま公衆トイレの建物に着いた。そこは「留山登山口」の駐車場の様です。とりあえずここで用を足し、朝食を取る事にしよう。
この駐車場の辺りに少し太い竹が見える。藪ではありませんが、そこそこ生えているので辺りを探して見る事にしました。
分かりづらいと思いますが、道路の端は崖になっています。こんな場所にタケノコは多く生える。道路側から見えないタケノコも、崖を下りながら上を見ると見付けやすい。
その崖にタケノコを見つけると、その横にもある事が多い。その崖をトラバースしながら採取します。 そんな時に事故が・・・
崖の中ほどで竹に足を滑らせた。スパイク付のシューズを履いているのですが、硬い竹には効果が無い。滑落しそうになったので、とっさに近くの竹を掴んだ。しかし、その竹は枯れていたらしくポキッと折れた。そのまま一回転して下へ・・・ 落ちる際に足が竹に絡んだのか、グキッと鈍い感覚が膝から聞こえた。 と書くと大事の様に見えるが、そこは3〜4m程の落差の崖です。なので、1〜2m程の滑落で体にキズは無かった。(崖も大げさで斜面) ただ、膝に不安が・・・ 歩く事に大きな問題を感じなかったので、そのまま採取を続けました。留山の登山道に入ってみると、何か期待出来そうな竹がいくつか見える。でも、膝が心配でその先に進む事は断念する事にしました。
今回の八森での収穫分です。去年の田代で収穫したよりも多い様に感じます。八森は海岸線にあるため雪が少なく、十和田や田代より早く収穫が出来ます。それでも時期的に少し早かったのかな?今年は、例年より山菜の出始めが遅れているらしい。 十和田で採取される物と比べると、質も量もかなり劣ります。しかしそれはケド端で採れる物の比較で、八森のタケノコが劣るというモノではありません。八森・峰浜は山深く、そこで採れる物を見聞きした事がありますが、けして劣る物ではありませんでした。ただ自分が、その場所には入り込めないだけです。 時間的にも八森にはメリットがあります。十和田や田代の現場に着くには車で2時間半位掛かるのですが、八森の現場までは40分程で着く事が出来ます。時間も燃料も節約出来るため、気軽に採取しに行く事が出来ます。
山に入る場合は熊と遭遇するリスクが付き物で、ほとんどの林道の入口には「熊注意」の看板があります。しかし現在では、人里での目撃情報が増えています。
今年になってからの熊の目撃情報の場所です。青印が目撃場所で、わずかですが赤印のある所は人身事故の発生した場所です。県北だけを切り取りましたが、県南ではもっと多くて秋田市内の目撃も多く報道されていました。6月7日付けの北羽新報です。
6月6日の早朝から夕方に掛けて、能代市街地で熊の目撃情報が多く入った事が新聞に載っています。目撃場所によって大きかったり小さかったりした様で、おそらく目撃されたのは同一個体で子連れ熊ではないかと思われます。子連れ熊であれば、近くに居ただけで子を守るために襲う可能性が高く危険な存在です。 今では、市街地で目撃されても驚かなくなりました。


風の松原近辺で多く目撃されていますが、松原は食糧が乏しいので、おそらく松原は生息地ではなく他の山から林伝いに通っていると思います。
去年は山の実が豊作とされていた事から、秋から冬に掛けては目撃情報が比較的に少なかった様に感じました。豊作の年には母熊が子供を多く産むとされているので、今年は熊の個体数が増えていると予想されます。その熊達が、エサを求めて人里に多く出て来ていると思われます。人里の味を覚え、人を恐れなくなった「アーバンベア」が増えている。
基本的には、熊も人との接触は避けたいはず。そのための対策として、ラジオを付けて人の声を流したり鈴を付けて人の存在を知らせるなどが、熊との遭遇を防ぐ有効手段とされています。こちらの存在を知らせて、熊に避けてもらうためです。しかし、これらの対策をしても遭遇するという事例もありました。ある意味、人は怖くないと知った熊かもしれない。
極端な事例としては、先に書いた十和利山熊襲撃事件もその中に入ると思っています。被害者には食害の痕跡があり、射殺された熊の胃には人体の一部が発見された。一般的な熊はパニックで人を襲うとされていますが、特異な個体には肉の味を覚えて狩りをする熊もいるらしい。その様な熊に、ラジオや鈴で自分の存在を知らせたらどうなるだろうか? ま、滅多にない事ではあると思いますが・・
数日前の新聞に、新たな熊対策グッズが載っていました。
傘に、オオカミの顔が大きく描かれている物です。日本の自然界で頂点に立つのは熊で天敵はいませんが、昔 ニホンオオカミが存在していた頃は熊の天敵であったかもしれません。もしかしたら、熊のDNAにオオカミを恐れるモノが本能としてあるかもしれない。 で、この熊グッズをどう使うのだろうか? 常時傘を開いて、熊を寄せ付けない様にするのだろうか? それとも、遭遇した時に傘を開いて熊を驚かして撃退するのだろうか? 新聞には、その使い方は書かれていませんでした。
マタギの知恵を、登山技術に活かそうという本があります。
マタギとは、狩猟を生業とする集団です。しかし、現在のハンターや猟友会とは違い、独自のしきたりや言葉を持った民族だと思います。そんなマタギの知恵や、現役マタギの「吉川隆」さんの実例などが書かれています。吉川さんは青森県の「赤石マタギ」で、白神山麓を活動の場にしています。数年前にマタギに関しての講演が藤里町であり、自分も拝聴して来ました。

この本に書かれている、熊の撃退法が・・・
着ている物を広げて、体を大きく見せる方法だそうです。ツキノワグマであれば、多くは人間より小さいです。着ている物を広げれば、倍位に大きくなった様に見えるかもしれない。 先の傘も同様で、遭遇した時に開くと急に大きなオオカミが現れたと思って「どでまぐる」と思う。マタギの知恵から考えると、オオカミ傘は効果がある様に思います。 尚、新聞では効果が分からないと書かれていました。一度、クマ牧場で実証実験が行われたら! と思います。 でも、かなり危険が伴いそうだなぁ〜・・・
○留山とは
八峰町八森にある、標高160〜180mの里山です。
登山道が整備されており、10台程度の駐車スペースとトイレが備わっています。入山には、ガイド同伴が原則の様です。 留山から水の目林道で農道に抜けれる様になっていますが、一部で路肩が崩れて一台がギリギリ通れる状態です。軽トラや車高の高い4WDであれば問題がないと思いますが、乗用車であれば腹が付いてスタックする恐れがあります。パッソでは無理と感じ、引き返して来ました。
ガイド同伴なのは、そこに文化的価値があるからかもしれない。
留山には、天然のブナ林が広がっている。ブナは貯水力が高く、ブナ林は天然のダムとされています。それを守るため、昔から留山のブナ林が保全・管理されて来た。 反面、ブナの特性は製材に向きませんでした。そのため近年では、ブナは伐採され杉が植林されて来ました。それが「青秋林道問題」です。それを阻止した結果、白神山地のブナ林が世界自然遺産に登録されました。
白神山地は、気候や地理的に厳しくて人の手が入らなかった結果、天然ブナ林が多く残った。そのブナ林で、各地のマタギ文化が継承されて来ました。 白神山地は、天然ブナ林の保全状況によってコアゾーンとバッファーゾーンに分かれていますが、白神山麓一帯には天然ブナ林によって形成された文化が多いと思います。 ブナ林の活用・水資源の管理・マタギ文化等々・・・から、「白神山地世界文化遺産」の価値もある様に思いました。
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