中川原にも熊が出没

今年は、全国的に熊の出没が多く目撃されています。この状態は、例年以上の出没の様です。秋田県でも例外ではなく、県の全域で熊の目撃情報があります。

 

                       (赤丸印が熊の目撃地点)

10月15日時点で2144件の目撃情報があり、記録に残る2009年以降で初めて2千件を超えました。

 

突出して今年の目撃数が多い事が分かります。昨年の目撃数が730件である事から、今年はすでに昨年の3倍の目撃情報があり今後もまだ増えると予想されます。

なぜ熊が多く目撃されるかと言うと、今年は山にエサが不足しているために里へ出て来ていると言われています。

 

上記の図はブナの実の作況状況ですが、ここ3年程はブナの実が比較的に豊富であった事が分かります。しかし今年のブナの開花状況を見ると、大凶作の予想になっています。そのため山にエサが不足し、熊がエサを求めて里に下りて来るのです。それと、山にエサが豊富にあると熊の出産数が増えます。そのため、豊作であった3年間に熊の生息数は増えたと予想出来ます。熊の数が増えた中で山にエサが不足すると、必然的に飢えが襲ってくる事になる。今年の熊の目撃情報が多いのは、こういった事が原因とされています。 ブナは、豊作・凶作が周期的に変わるという。そうする事によって、山の野生動物の数をコントロールしていると言われています。

今年は、目撃情報以上に熊による人身事故が多い事が問題になっています。

 

10月19日時点で、人身被害は45件・52人の被害が確認されています。こちらは昨年の8倍以上の件数になっています。今がキノコ採りシーズンであるため、この数も今後は増えると予想されます。ただ幸いにも、死亡事例は発生しておりません。(数日前、鹿角市の女性が岩手県の山中で熊に襲われ死亡)

中川原にも熊が出没しました。 場所は、中川原橋付近という事でした。

 

北羽新報の記事によると、16日午後6時10分頃に中川原橋付近の桧山川運河沿いの草地を2頭の子グマが居るのを見付けた。体長はいずれも50cm程で、2頭は米代川の方向へ歩いて行き姿が見えなくなったと言います。

 

               (熊はイメージです)

午後7時頃にはパトカーが巡回し 「付近で熊が目撃されました」 と、アナウンスしながら町内に、パトカーが回って来ました。アナウンスを聞きながら 「付近て何処? 中川原で熊? まさか!」という思いがありました。辺鄙な中川原ですが、一応は市街地。こんな場所に熊が出る訳がない! 写真が桧山川運河で、左岸が御指南町・右岸が中川原になります。たぶん左岸の草地を歩いていたと思うので、厳密には 「御指南町にも熊が出没」 という事になります。

普通に考えれば、中川原に熊が出没する事は考えられません。

 

能代市は米代川の河口に位置し、能代平野は米代川によって運ばれた土砂が堆積した事によって形成された三角州です。そのため、能代市街地に山は存在しません。赤丸印が中川原で、一面が平地になっています。 では、熊はどこから出て来たのだろうか? しかも、子グマ2頭で・・・

中川原で目撃された数日前の事で、10月12日に「風の松原」で熊の目撃情報が4件ありました。

 

                                (北羽新報より)

地図①の場所で、午前8時50分頃に体長50cm程の熊が、能代エナジアムパーク側から道路を渡って松原に入って行く所が目撃された。 午前9時30分頃には、地図②の場所から道路を渡って松原に入って行く所を目撃された。体長は不明。 午前11時頃には、地図③の辺りで体長1m程の熊が目撃された。 午後0時30分頃に地図④、能代ロケット実験場付近で体長1m程の熊が目撃された。 以上の目撃情報から判断すると、親子の熊の様にも思えます。 能代エナジアムパーク(火力発電所)を通って能代港に向かう湾岸道路では、数年前にも熊の目撃情報がありました。

港湾道路に熊が出没
港湾道路を熊が横切るのを目撃された。場所は風の松原と呼ばれる砂防林で、近くに民家などはない。この熊はここに住み着いているのだろうか?このまま居続けるのだろうか?

しかし、松原内には熊のエサとなる物は少ないため、松原内に居着いている熊ではなく何処からか入り込んだと思います。

自分が思うに、中川原で目撃された熊は湾岸道路の熊と同一のモノではないか? と思います。 湾岸道路での目撃は一瞬の事であったと思うので、正確な大きさを判断するのは難しいと思います。(親子一緒に目撃されれば比較できるけど) 中川原での目撃は日が暮れた後だったので、薄暗い状況だったと思います。中川原で目撃された熊は子グマ2頭でしたが、実は親子グマだった可能性もあったと思います。もしくは、子グマ2頭に親グマも居たかもしれません。仮に子グマだけだとしたら、親グマはどうしたのだろう? こういった状況の場合、子グマはパニック状態だったかもしれない。湾岸道路は車通りが多いし、松原にはキノコ採りの人が入っている。

同一だった場合、熊はどういうルートで中川原まで来たのだろう?

 

上記の写真は、湾岸道路から中川原付近が写っている写真です。 熊も出来るだけ人とは会いたくないと思います。そう考えると、熊は松原の中を北上したのではないか? と思います。北上する理由はあったのか? となりますが、松原内はエサとなる物がすくないため何か食料の臭いのする方、つまり人の暮らす方に向かったのではないか? と思いました。松原の先端は能代公園になりますが、ここから先は市街地になります。街中は人が多いので、どこか隠れる事の出来る場所に向かった。そう考えると、米代川の河川敷の藪が丁度良い様に思いそこへ向かった? と考えられた。そこを川沿いに東へ向かうと桧山運河の目撃場所へたどり着く。ただ、痕跡を追跡した訳ではないので、それがどうなのかは分からない。 街中を隠れながら移動した可能性もあります。実際に秋田市では、片側2〜3車線の交通量の多い交差点で子グマが目撃されました。しかし能代の市街地では熊の目撃情報がないため、米代川沿いに移動したのでは? と思った。もし自分が熊だったら、米代川沿いの道を選びます。 中川原で目撃された以降、熊は何処へ行ったのだろう?

中川原で目撃情報が出た数日後、能代東中学校の辺りで熊の目撃情報がありました。15日夕方に一件。18日午前8時40分頃には東中敷地内で目撃されました。体長は70cm程で市内で目撃されたサイズと違いはありますが、これも正確な数字は分からないと思います。同一の熊なのか、それとも別の熊なのか? 東中は、熊が生息していると思われる桧山や鶴形に近いので、そこから出て来た可能性もある。能代市内で目撃された熊も桧山か鶴形から出て来て、市内を一周してまた桧山か鶴形に戻ったか? いずれにしても痕跡を追跡する事は出来ないので、果たして無事に山へ戻る事は出来たのか?それとも、里に居着いたのか・・・

先に、ブナ林が野生動物の数をコントロールしていると書きました。ただ、昔からブナの実の豊作・凶作は周期的に続いていたはずです。それなのに、なぜ近年になって熊と人間の接触が多くなって来たのだろう。 一つは、ハンターの数が減っている事があると思います。熊狩りを生業とする「マタギ」の数も減っている。今のマタギは、生業というよりも伝統を守り続ける無形文化財の様にも思えます。 一番の大きな原因は、熊の生息地が狭くなって来た。林道建設や植林によって、熊にとって最適な土地が失われていく。山間部の開発が進む事によって宅地が造成され、人間と熊の境界があいまいになっていく。そうした人里に出ると、食料となる物がふんだんにある。それを覚えた熊は、山に食料が無くなると人里に出て来る。もはや、ブナ林による数のコントロールは出来なくなっているのかもしれない。

そこで問題となるのが、里の味を覚えた熊です。美味しい物が簡単に手に入り、しかも安定して手に入る。その様な熊を新世代の熊 「アーバン・ベア」 と呼ぶ。(OSO18もその種類) 人里近くに居住地を作り、そこで冬眠をする。多少の危険はありますが、その方が楽だからです。その内、空家などに住み着き冬眠しない熊が出現するかもしれない。空家が問題となっている現在、そういった状況になる可能性もある。

今年の10月4日に、秋田県美郷町で熊が作業小屋に籠城する事件がありました。

 

4日午前7時15分頃に、体長1m程の親グマと50cm程の子グマ2頭が千畑なかよし園の敷地内で目撃され、その後 近くにある畳店の作業小屋に入り込んだ。爆竹などを使い熊を追い出そうと試みましたが、熊もその手には乗らず籠城を続けました。というよりも、熊は怯えて動けなかったと思います。(子グマも居たし) そのまま日没を向かえたためその日の捕獲はあきらめ、入口に檻を仕掛けてその日の作業を終えました。

問題となったのは、その後に起こった事です。 翌朝、檻には親子の熊が捕獲されていました。そして、捕獲された親子熊は殺処分にされました。すると、その殺処分に対して県外からの苦情が殺到したそうです。たぶん、殺処分の中に子グマが存在していたためだろう。 かつては、捕獲した熊を痛めつけて「里に出ると怖い目に合う」と熊に覚えさせてから山奥に帰していた事もありましたが、腹が減って死活問題と考えれば、里の味を覚えた熊は多少の怖さはあってもまた戻ってくる可能性が高い。子グマも翌年には成獣になり、住民にとっては脅威が大きくなります。そうさせないためにも殺処分にしたと思います。 苦情を言った本人にとっては遠い所の出来事であり、熊の脅威とは無関係な事。子グマも殺された! という感情だけで言った苦情だろう。少し前にあった、処理水に対する無知な中国人の苦情と変わりがない。

10月19日、今の原稿を書いている途中で、北秋田市鷹巣で5人が熊に襲われてケガをしたというニュースが流れている。場所は鷹巣の中心市街地で、通常であればここも熊の出没しない場所です。

熊が人を襲うのは、鉢合わせする事によってパニックになって襲われるとされています。山菜採りやキノコ採りで熊の生活圏に入り込み、熊の食料である山菜などのある場所では遭遇する確率は高くなる。 また人間の生活圏では、柿や栗が収穫されずにそのままになっている木が多い。それを狙って食べに来る熊も多いため、お互いに収穫に来ると遭遇する可能性が高くなります。

熊が人を襲う
熊の出没で、通常と違う行動になっている。石川県では特にその傾向が強く、10月に入って12人の犠牲があった。異常な行動というのは、町の中心部で熊に襲われている。通常であれば、山菜採りなど山で出くわして襲われるケースが多い。藤里町でも同様の事件が発生した・・

熊が栗の木に食事に来て、たまたまそこに人間がいてパニックになって襲った。けして、栗を独占したくて人間を襲ったわけではない。 19日の鷹巣の場合も、町に迷い込んだ熊が人間を見てパニックになり、逃げる途中に出会った人達を襲ったと想像が出来る。

人間に慣れて里の味を知った熊は、やはり駆除する必要があると思います。それらアーバン・ベアが人里に住み着き、人間の捨てた生ゴミなどから肉を好む様になれば、その先が恐ろしい・・・  そう、OSO18の様な・・・

 

 

 

 

 

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