イクジ採り〜今年のキノコ状況

能代で「イクジ」と呼んでいるキノコは、正式名称を「アミタケ」という。傘の裏側の胞子を形成する部分がチューブ状の器官になっており、管孔と呼ばれるその部分が網目の様に見える事からアミタケと名称が付けられたのだろう。そのキノコを、能代衆がイクジと呼んでいる意味は不明です。

キノコは秋の代名詞の様に感じますが、イクジは夏にも発生します。

夏に採れるきのこ
日本では各地で水による災害が報じられており、秋田県では大雨にこそなっていないが長雨が続いている。梅雨に雨が多いとキノコの成育が良いとされている。キノコは秋と思われがちだが、夏にも採れるキノコがある。晴れ間が出てきたので、それを探しに行ってみた。

聞いた話によると、その発生期間は短いそうです。去年収穫した場所に今年も同じ時期に行ってみましたが、収穫はゼロでその兆候さえも見えなかった。もしかしたら、夏イクジは発生する年と発生しない年があるのかもしれない。ただ、毎日山へ通う訳にもいかないのでその真偽は不明です。一つの目安として、産直で販売されている時がある。しかし今年は、イクジが販売されている所を見た事がなかった。

9月中旬頃になってくると、そろそろイクジが・・・ という気になって来る。その場合にも、産直への出品が目安となってくる。

自分がみょうが館に行った日、丁度イクジが並んでいた。その時に北羽新報の記者が取材に来ていたので、その日がイクジの初入荷の日であったのかもしれない。何でもそうですが、初物には高値が付く。その時は「100g入・500円」で販売されていたと記憶している。イクジの最盛期には誰でも大量に採取出来るので、この値段は異常な高値の様に感じた。もちろん手に取って見ただけではあるが、イクジの発生している可能性が高いという事を知る事になった。

イクジの記事が載っていたのは、9月25日(土曜日)付の北羽新報上であった。 自分のイクジ採りの場所は三種町に行っているが、記事の載ったのが土曜日である事から多くの人の来る事が予想された。人混みを嫌う自分はその場所をあきらめ、八峰町に行ってみる事にしました。その場所もかつては多く採れたのですが、人が入る様になってからは全然採れなくなった。採取の範囲が狭い事もあり、資源が枯渇したのかもしれない。まだ走りである事から、ダメ元でその場所に行って見る事にしました。

かつての風景とは大きく様変わりし、藪が深くなった感じがする。その藪に入り探していると、ポツリポツリとイクジが点在して生えいるのを見付ける事が出来た。

     

本来、イクジという物は群集して生えている物です。すでに人の入った形跡があり、その人達の取りこぼしなどだろう。

イクジの生えている場所に、赤いキノコが混ざっている事がよくある(左側の赤丸印)。自分達は「赤ぼっち」と呼んでいるが、正式名称は「チシオハツ?」だろうか。赤色で目立つため、このキノコを探して周りを探すとイクジが生えている事がある。

母親が言うには、子供の頃に小さい赤ぼっちを味噌汁に入れて食べた事があり、美味しかったと言っていた。しかしこの赤い色は、毒キノコの典型の様な感じがして試してみようとは思わない。きのこ図鑑によると、辛味の強いキノコらしい。辛味を抜いて、つまりゆでこぼしたり塩蔵してから調理すると美味しく食べれるらしい。

こちらは、毒キノコに指定されている「カキシメジ」です。自分達は「キンダケの親」「オヤ」と呼んでいるが、キンダケの出る少し前に発生するからそう呼んでいると聞いた事がある。一見シイタケの様でとても美味しそうに見えるが、立派な毒キノコです。しかし自分達は、このキノコを目当てに採りに行く事がある。有名な毒キノコであるため誰も採らなく、群集して生えている事がよくある。カキシメジは一度ゆでこぼしてから塩蔵すると、毒気が抜け美味しく食べる事が出来る。

家では、塩蔵した物を冷凍保存している。 その事を能代衆は知っているのか、能代の松林ではオヤをほとんど見る事が出来なくなった。以前は鹿角市や三種町の松林でイクジ採りの時に大量に採取出来たが、能代衆が多く入る様になってからはその数が大幅に減った。

先の写真の右側赤丸印のキノコは、「アワダケ」と自分達は呼んでいる。イクジと同じ仲間で、傘の裏にスポンジ状の黄色い管孔がある。毒はない様ですが、この管孔を食べると消化不良を起こすらしく、これを取り除いて調理すると美味しく食べる事が出来るらしい。(イクジも大量に食べると消化不良を起こすらしい。) 小さい物はイクジと似ていて、そのまま調理して食べる事が出来ると聞いた事がある。大きい物は手の平位の大きさになるが、その姿がグロテスクに見えるためか、誰も採らないためどこにでも発生している。(青森の産直では、このキノコと思われる物が販売されていた。名前は違ったが、たぶん同じ種類の物ではないかと思われる。その地域によって、食べる地域もあると思う。)

2時間位、ブラブラと探した結果。 一回調理分としては、十分な量でした。比較的形の良い物が揃っており、あまり期待をしていなかったから満足の出来る収穫であった。ここでこれだけ採れたという事は、三種町ではもっと取れる可能性が高い!

9月29日、三種町へイクジ採りに行って来た。去年までは土・日・祭日にしか行く事が出来なかったが、今年からは平日も行く事が出来る様になった。三種町の場所は人が多く入るため、平日に行く事が出来れば少しは収量が上がるかもしれない。それでも他の人達より早く山に入りたいと思い、日の出時間に現場に着く様に家を出た。が・・・ 着いた時には、すでに駐車場は満車状態であった。しかし路上駐車のスペースは空いていたので、土・日・祭日よりは人の出が少ないのかもしれない。

今回は母親も連れて行く事にしました。母親はうまく探す事が出来ないため、出来るだけ条件の良い日に来る必要があった。ただ、方向音痴の気があり、高齢という事もあって目が離せない。常に母親の後に付いて探す必要がある。でも取りこぼしがかなりあるので、退屈するという事はありません。

    

やはり、まとまって生えている場所を見付けると楽しくなる。こういう場所を見付けないと、中々収量は増えない。

二人合わせて採った分です。収量としては多い方ではないが、比較的形の良い物が多かった。出始めという事もあり、虫食いも少なかった。この中から、形の良い物を親類にお裾分けする事も出来た。多くの量を分ける事は出来なかったが、初物としては十分だろう。

すでに最盛期を向かえているだろうと思える10月6日、今度は自分一人でイクジ採りに行く事にしました。キノコ採りを行う場合は、やはり集中力が大事と思う。一人になる事で、一心不乱に探す事が出来る。 前回同様 日の出時間に着く様に行ったが、今回も駐車場は満車であった。仮に人より早く着く様に来ても、暗い内からはキノコを探す事が出来ない。 準備をしてすぐに山に入ったが、前着者達の姿はあまり見えなかった。ほとんどの方々は奥の方へ探しに入ったと思われる。自分達はいつも手前の方でしか探さないので、自分的にはその方が助かった。

3〜4時間程採取した結果。写真だけでは前回とあまり変わらない様に見えるが、収量は前回の倍以上の収穫があった。一人だと自由に動き回れるので、前回より広い範囲を探す事が出来ました。

1個だけですが「ハツタケ」を見付けた。食べてもボソボソして美味しくないキノコですが、干し椎茸の様に乾燥させると出汁が良く出る。前に採った分もあるので、それに混ぜて干しておく事にした。

まだ早いと思われた「キンダケ」を見付けました。しかも中々形が良く大きい。 キンダケは能代の砂防林でいつも採取していますが、三種町でも少しは採取出来る事を知っていた。しかし、これだけの量を採取したのは初めてです。たぶん、前着者達は暗い内から山に入ったためこれらを見逃したのだろう。 キンダケは群集して生えている事が多く、1個見付けるとその周りに必ずいくつかのキンダケを見付ける事が出来る。しかしイグチとは違い、砂や松葉の下に埋もれているため、探すにはそれなりの集中力が必要と感じる。中には砂ごと掘り返して探す人もおり、能代の砂防林ではその様な痕跡が多く見られる。そのため、能代衆は他の地域の人達に嫌われている感じがする。 キンダケの正式名称は「キシメジ」ですが、砂に埋もれてコロっとした物は「シモコシ」と呼ばれ、特に味が良く、値段も高く高級品になっている。

今年はキンダケの豊作の年なのだろうか? そんな期待を胸に、10月13日に能代の砂防林へキンダケ採りに行って来ました。一年ぶりの入山になる訳ですが、何か砂防林の様相が変わっていた。いつも入っている場所が草薮になっており、どうもキンダケが生える環境にみえなくなっていた。何人かの先客がおり自分も入ってみたが、予想通りほとんど見付ける事が出来なかった。何か、今年は風車側に人が集中して入っている。以前に入った場所は、キンダケが枯渇して人が入らなくなったため草薮になったのかもしれない。 この場所をあきらめ風車側に入ったが、すでに多くの人が入った後であり、ここでも少しの収穫しかなかった。 今回の収量は、あまり程度の良くないキンダケが100g程。能代の砂防林は広いので、今後の市場開拓が必要だと感じた。

9月30日付の北羽新報に、松茸を採取した事が記事として載っていた。収穫場所は鹿角市の松林で、自分達がイクジを採取しに行っていた場所です。かつてはイクジが大量に採れ、ここには能代衆も大挙していた。この場所までは能代から100km程離れているが、能代衆はそこに物があると分かると時間を惜しまずに出掛ける。青森県の十三湖でキンダケが採れると分かった時もそうだった。十三湖までは160km以上あるので、日の出と共に捜索するとしたら夜中の2時頃に家を出ないといけない。そこまでして採りに行く価値はあったのだろうか? そういう自分達もその一員ではあったが!

現在の鹿角市の山では、イクジはほとんど採れなくなった。そのためこの場所でのイクジ採りはあきらめ、「オヤ」採りに専念していた。そのオヤも激的に減ったため、現在は行く事もなくなった。 ここの松林には、県北では珍しく赤松が多く生えている。そのため、昔から松茸採りと思える人が多く見られた。その人達は、自分達と違いかなり重装備の様に見えた。新聞に載っている人の話では、山を二つ越えてようやく松茸を見付ける事が出来た。 と、言っている。自分達の様に、車を駐めた周辺をチラチラと探すのとは大きな違いがある。 その人の話では、今年のキノコは不作で、松茸もイクジも少ないと言う。その人の感覚と自分の感覚は違うと思うが、自分の感覚では例年以上の収穫があった。少なくても、キンダケは今までで一番の収穫であった。(その日の状況で、たまたま良い場所に当たった。ハズレた。の要因が、自分の場合は大きい)

キンダケは「シモフリダケ」とも言われ、雪が積もる頃まで発生すると言われている。イクジの時期はそろそろ終わりと思えるが、キンダケの収穫期はまだ20日以上あるだろう。 近い内にまた、キンダケ採りに行ってみようと思っている。

 

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