今年の山菜の成育は遅かった様に感じている。一番最初はゼンマイ採りに行くのですが、例年であれば4月末頃に採りに行っていた。しかし今年はその時期に全然収穫が無く、5月10日頃にまとまった収穫があった。どうも、例年より2週間程遅かった事になる。その収穫高は少なく、10日頃に行った時にはすでに伸び切って食用にならない物も多く、まだ芽吹く前の物も多かった。そのため、食用に適した物の収穫が少なくなったのです。それはゼンマイだけではなく、ウドも同様の結果になった。その原因となったのが、冬期に降った雪の量ではないか? と自分は思っている。今冬の積雪は、自分が雪かきをする様になって史上最高の大雪だったのではないかと思っていた。
自分達は藤里町にゼンマイ採りに行くのですが、4月末頃に行った時はまだ残雪が多くあった。その時期に行って、これ程の雪を見たのは初めてであった。例年より雪解けが遅れたのだと思う。
能代市の今年4月の気象データですが、気温が高く夏の様な日もあった。しかし降水はほとんど無く、良い天気の日が続いた。藤里町は隣の町である事から、能代市とは天気に違いはないと思います。気温が上がっても、雨が降らなければ雪解けが遅れるのでは? と自分は思う。そのため、雪の残っている所では山菜の成育が進まず、反対に雪の溶けた所では気温が上がった事により成育が進んだのではないだろうか。その結果、山菜の成育がアンバランスになったのでは? と自分は思っている。
今冬の大雪は能代山本だけではなく、青森・酸ヶ湯温泉の事がよくニュースで流れていた。酸ヶ湯温泉は全国的にも雪深い所として有名ですが、今年の1月31日時点で427cmの積雪があった。1月中に4mを超える積雪は9年ぶりだそうです。そのため、青森県の他の地域も積雪が多かったのではないか? と想像が出来る。 そこで問題となるのが、タケノコ採りの時期です。自分達は鹿角市大湯「熊取平」にタケノコ採りに行くのですが、ここは青森県との県境付近にあります。そのため、ここも例年より積雪が多かったのでは? と思った。例年では5月末頃にタケノコ採りに行くのですが、今年は以上の事を考慮して10日程遅れた6月4日に行ってみる事に決めました。
熊取平までは家から2時間程掛かるので、朝5時前には家を出る様にしていました。しかし、今年は違った。現地の状況が分からず、空はどんよりとして雨が降りそうな天気であった。何か気分が乗らずグズグズしていたら、5時はとうに過ぎていた。そろそろ行くか! と重い腰を上げた頃にはすでに6時を過ぎていた。車を走らせ、現地に近づくにつれ雨が強くなっていく様に感じた。出足が遅れた事で、場所取りに失敗したのでは? という思いも混ざり、気分は落ち込む一方で車を走らせた。しかし現地に着くと雨は上がり、先に採っている人は見当たらなかった。この状況で少し明るい気分になり、タケノコ採りに向かう。
去年と同じ場所で採取した。
というか、奥地に入る度胸がないため、毎年同じ場所での採取になる。
下の方から順々に攻めて行き、道沿いに上へ上へと向かう。去年は下の方で全然タケノコが見付からず、上の方でようやくまとまった量を収穫出来た。しかし、今年は違った。多くはないが、下の方でもいくらかのタケノコの姿が見えた。それに加え、いつもは採る事のないワラビも多く生えている。しかも、中々質の良いワラビだ! それまでの落ち込んだ気分は消え、明るい未来が見えて来た! その時である。「山菜採りは自粛してください」 と、叫びながら巡回車が近付いて来た。
熊取平では、6年前に山菜採りが熊に襲われる事件が発生した。その事件は、日本で記録に残るものとして史上三番目の被害を出した獣害事件とされている。詳しくは「十和利山熊襲撃事件」としてウィキペディアにも載っている。
自分達は、事件の起きる10年以上前からこの場所を利用していた。しかし、事件の起きた現場が自分達の採取場所に近い事に驚いた。そのため、事件後の2〜3年間はタケノコ採りに来る事が出来なかった。その後は熊の目撃情報を聞かず、そろそろ大丈夫と思い来る様になった。事件現場入口にはバリケードが置かれ、中に入らない様に注意がされている。そして、いたる所に入山禁止の看板が設置されていた。しかし、元々自分達は道路沿いでしか採取しないケドバタ捜索隊である事から、熊に出会う確率はほぼゼロであるという思いがあった。
巡回車が近付いて来て、やがて自分の車のナンバーが読み上げられた。すぐに車の所まで戻って来いと言う。注意喚起だけしてすぐに立ち去るだろうと思っていたが、やがてその声はイラ立ちを持って叫ぶ様になって来た。仕方がないので戻ってみると、入山禁止だからすぐにタケノコ採りはやめて欲しいと言う。この場合「分かりました」と答えるしかないだろう。入山禁止とされている以上、自分達は不法侵入という事になる。 事件直後でも入山する人は見られ、ニュースでは山菜採りに色々と聞いている場面を見た。その時に出るのは「自己責任」という言葉です。そして、熊には絶対に出会わないと言う。仮にその人が熊に襲われたとしても誰も補償をする必要は無いし、誰も責任を取る必要がない。しかし、遭難したとなれば地元住民やその自治体が捜索をする事になる。地元住民からすれば、勝手に遊んでいていい迷惑な話である。自分達はケドバタ捜索隊で熊に遭遇する確率はゼロであっても、他人にそうは見えない。ここは何も言わず立ち去るしかない。
事件後に何回か来たが、今まで巡回に会う事はなかった。今年から巡回を始めたのだろうか? たぶん、事件後から巡回は行われていたのだと思う。では、なぜ今まで巡回に出会わなかったのだろうか。たぶん、巡回はタケノコの最盛期にのみ行われていたのかもしれないし、人の多く出る土・日だけかもしれない。自分達は5月末頃に来ていたため、最盛期前で巡回をしていなかったのかもしれない。 もう一つは、今年5月22日に鹿角市大湯大平でタケノコ採りをしていた男性が熊に襲われてケガをした。そして6月4日には遭難事故が発生し、高齢の男性が死亡した。もしかしたら、熊取平を追われた人達が大平に来るようになったのだろうか? 遭難防止は、鹿角市として放っておけない事案になったと思う。
大平地区は熊取平から西に直線で6〜7km位離れた場所であるが、山でつながっており熊取平とは関係がないとは言えないかもしれない。いずれにしろどちらも鹿角市大湯地区で起きた事件である事から、熊取平でも監視を強めたのかもしれない。
結局、タケノコ採りは30分程で終わった。
今回の収穫はこれだけ。呼び出されて車に戻る際、自分の収穫したタケノコを何気にどこかに置いた。帰るためにそれを取りに戻ったが、自分がどこに置いたか分からなくしてしまった。本当は、これの4〜5倍の収量がありました。もし5時前に家を出ていたら、それなりの収量があったと思われるのが悔やまれる。
タケノコの皮を剥いて、固い所を切り落とすとこれしか残らない。一回分としては十分ですが、人にお裾分けをするには至らなかった。
来年以降は、どの様にしてタケノコ採りを行うべきだろうか。確実なのは、入山料を払ってタケノコを採る事。そのつもりがあれば、十和田まで行かなくても一時間圏内で採取出来る所がある。有料とはいっても安全とは限らず、熊との遭遇や遭難の危険性はある。数日前に樹海ライン沿いのタケノコ採り場で、二ツ井町の男性の遭難事故が発生した。今回は無事に発見されたが、亡くなったり見付からなかったなどの事故が毎年発生している。良質のタケノコを得るためには、人の入らない奥地まで分け入る必要がある。それらを回避するために道端で採取していては採算が取れない。そのため、ケドバタ捜索隊にとっては割の合わない採取場所になってしまう。 厚顔無恥で熊取平に行くか? タケノコ採りを生業にしているのであれば、ゲリラ的に何か打開策を探す必要もあるだろう。しかし、単に楽しみだけの採取であるから、人目を気にしながらの採取では楽しいはずもない。 入山料を払わず、なおかつ一番安全と思えるのは、登山をしながら採取する事。登山道脇にもタケノコの生えている場所があるし、登山道がハッキリしているので無理をしなければ遭難の心配がない。ただ、大量のタケノコでは山の登り降りにかなりの体力を必要とする。自分一人で行うのであれば大丈夫と思うが、母親を連れて行く事は出来ない。 基本的には道端で採取出来る所を見付ける事。その結果、自分達ケドバタ捜索隊は車を走らせ十和田にたどり着いた。能代山本でも良質なタケノコを採る事の出来る事は知っている。問題は手軽に採取できるか。来期に向け、近場の林道で車を走らせ市場開拓をする必要がある。(ただ、パッソでは少し不安がある)
朝 何となく滅入って気乗りがしなかったのは、この事を予見していたからだろうか? 暦を見ると仏滅であった。 今回のタケノコ採りは、自分にとってあまり良い日ではなかった様です!
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