今の時期、店頭には季節ハタハタ(沿岸漁)が売られている。
ハタハタ漁には二種類があって、沖合のハタハタをトロールによって漁獲するモノと、産卵のため接岸してくるハタハタを獲る季節ハタハタ漁がある。ハタハタは秋田県の沿岸全域で獲れるため、昔から食用として利用されて来たのだろう。そして、食糧の少ない冬場の保存食として活用されたと思う。特にハタハタ寿司は一般家庭でも作られ、正月には欠かせない料理になっている。でも今は、自分で作って食べている家は少なくなって来ているのではないだろうか?その原因になっているのが、ハタハタの不漁による価格の高騰もあると思う。
高級魚になってしまったハタハタは寿司に回す程に余裕はなく、少量を焼いたりしょっつるにして食べる程度だろう。そして正月には、購入したハタハタ寿司で新しい年を迎える家が多いと思う。
ハタハタ寿司に関しては、地球温暖化も影響していると自分は思っている。冬が昔より暖かくなったため、ハタハタ寿司を作る時の温度管理がうまく行かず、発酵させ過ぎてしまう可能性が高くなる。 安い魚であれば失敗してもあきらめが付くが、高級魚となった現在では中々難しい。
秋田県のハタハタ漁獲量の推移であるが、昭和50年までは高い漁獲量で推移している。
連日ハタハタ売りが町内を回り、後半には「ハダハダはケルがら、箱だげは返してけれ!」と、木箱以下の価値になり猫またぎの魚であった。その後、漁獲量は急激に落ち込み、平成4年9月〜平成7年9月までは禁漁期間が設けられた。
それでもハタハタを食べたい秋田県民は、ハタハタを北朝鮮から輸入していた。しかしそのハタハタは鮮度が悪く、ほとんどを捨てた様に記憶している。 輸入したハタハタの中には、魚体に鉛を仕込み重量をかさ増ししたハタハタが見付かり問題になった事があった。それ以来、北朝鮮のハタハタは見なくなった。
昭和50年以降のハタハタの減少は日本の乱獲もあったと思うが、その時期は社会主義圏の崩壊とも重なる。北朝鮮でも、食糧や外貨を稼ぐためにハタハタを乱獲していたのではないか? と、ふと思った。
平成7年の禁漁開け以降も昔の様な漁獲にはならなかったが、漁獲枠を決めてからは緩やかな回復傾向にあった。しかし近年、また減少傾向にある。
県の「ハタハタ資源対策協議会」では、今季の漁獲枠を前年比150トン減の650トンに決めた。その内、八森・岩館・能代には漁獲枠を前年より30トン少ない77トンが配分された。
例年の季節ハタハタ漁は12月に入って本格化するが、今季は11月27日に初漁があり、29日に20トンの水揚げがあった。その後も連日の様に水揚げがあり、12月4日時点で配分枠の半分を超えた。 今年は豊漁か? という状況にある。しかし、他の地域はハタハタの動きが悪く、男鹿北部の実績は34%(2日現在)、男鹿南部・県南部は3%(1日現在)と漁獲が少ない。
ハタハタは「鰰」と書かれる事が多いが、「鱩」とも書く。
冬の嵐で海がシケた時に、大量に接岸して来た事から付いた名前だろう。まだ12月上旬だし、大シケの後で一気に水揚げされる可能性もある。ただ、ハタハタ寿司を漬け込む時期を過ぎたハタハタは一気に値が下がる。
12月6日は、男鹿でハタハタの日と決めているらしい。ニュースを見ていると、男鹿でハタハタ豊漁の祈祷が行われていた。「ついに神頼みか?」と思ったら、12月6日が平均的な初漁の日で、毎年の行事の様だ。
例年、男鹿の方からハタハタを頂いている。
しかしここ数年、不漁のためこちらまで回って来なくなった。
どうか神様、願いを聞いてくれ!!
コメント